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「犬は吠える、がキャラヴァンは進む」新しい地図を描きながら (「ゴロウ・デラックス」 3/29)

オープニング。
「今夜は322人目のゲストです。しかも(バラエティ番組)初出演。」(外山さん)
「実在する方なんですね。」(吾郎)「そうですよ!」(外山さん)
二人とも興奮しています。
出演者もスタッフも熱望していたゲストさんは・・・

沢木耕太郎さん、71歳。すらりと長身で、黒のトータルネックがよく似合います。
「深夜特急」は600面部を超えるベストセラーとなり、数々の賞も受賞されているノンフィクション作家です。
滅多にテレビに出ない方が今回出演してくださったのは、なぜ?
「単純に言えば気まぐれなんだけど、分の悪い戦いをしてる人にはちょっと加勢したくなる感じもないことはなくて。しかし、今あなたがしているのはそんな分の悪い戦いでもないでしょ?」沢木さんは早速吾郎に質問しました。
「そうですね。あまりそんな客観的には自分のことを観ていなくて。実際はすごく充実してますし、何よりも幸せいっぱいなので。」(吾郎)
「今やってる映画(「半世界」)で・・・」沢木さんが言いかけた途端吾郎の背筋がピンと伸びました。
「タイトルが出た後あなたの後ろを振り向く顔から始まるでしょ?あれが大人の顔になってて。良い顔してるじゃん、と思って。」(沢木さん)
「あ、ありがとうございます。そう言う意味では自分の再スタートですね。」(吾郎)
「傑作ではないけれどいいじゃん、って思いましたよ。」(沢木さん)
「ありがとうございます。監督もすごく喜ばれると思います。」(←阪本監督観てますかー?)
この番組の出演を受けて下さっただけでなく吾郎の映画まで観て下さって、沢木さん本当にありがとうございます!

課題図書 : 「銀河を渡る 全エッセイ」 沢木耕太郎 (新潮社)

沢木さん25年分の全てのエッセイを纏めた本です。25年前というと「深夜特急」の最後の巻を書き終えた直後くらいだそうで、
「だからそれまでの僕を第一期とすれば、これは第二期の僕のエッセイを纏めた本なわけ。だけど25年前って何やってた?」
と沢木さんはまた吾郎に質問を向けました。
「ちょうど、だから・・・」(吾郎)「二十歳ぐらいか?」(沢木さん)
「はい、二十歳ぐらいでちょうどデビューの頃。」(吾郎)
「おお、そうか。」(沢木さん)
「はい、もう2年前に解散したんですけど。そうです、ちょうどデビュー当時です。」(吾郎)
「それから25年間。膨大な時間?それともあっという間?」
吾郎は「うーん・・・」と首をひねって考え込みました。
「長いようで短いようで・・・」
「・・・としか言えないよな。」
沢木さんの質問はテンポ良く流れる様で見事としか言い様がありません。ゲストというより取材中のノンフィクション作家です。
と、ここでノンフィクションの真髄に触れた部分を外山さんが朗読。
ノンフィクションを書くに際して一番大事なのは「私」だ、と沢木さんは書いています。その「私」が現場に向かうことによってノンフィクションは成立するが、「私」を現場に赴かせるのは「好奇心」である。しかしジャーナリズムを成立させるためには「好奇心」にある「角度」が必要なのだ。その角度こそが書く人の個性でありその人の書くノンフィクション作品の個性になる。
「仮に私が稲垣さんのことを書こうとして、1回今日会ったから書こうって気にはならない。今日1回会って話すと1本の線が出来る。それが数年後に何かの拍子でもう1本の線が出来て、交点が1個出来ないと書こうとか取材しようとかってエネルギーにはならない。それで、稲垣吾郎のことを書きたいと思って、交点が出来たときに『あなたのことを理解したいから時間をくれませんか?』と言うと、相手にとっては結構な事件なんです。インタビューを山ほど受けていても『あなたのことを理解したい』と言う人が目の前に現れる事は人生で滅多にない。そう言われると一瞬ひるむと思う。ひるんだ後に「わかった」と心を開き応じてくれれば、それは圧倒的に深いものになっていく。」(沢木さん)
「確かに『あなたのことを理解したい』なんて言われたことはないですね。僕もない。」(吾郎)
「本当にあなたのことを理解したい」気持ちをきちんと伝えると相手は心を開いてくれる。これは取材に限りませんね。
「1本目の線はすぐ出来るんですよね。でも2本目の線は・・・。」(吾郎)
だから取材もそんなにしょっちゅうは出来ない、と沢木さん。2本目の線が出来たときに動き始めるのだそうです。

沢木さんはそうやってたくさんの有名人の心を開いてきました。
まずは高倉健さん。課題図書にも30ページに及ぶ追悼文が載せられていますがその出会いは・・・
「僕がモハメド・アリの試合をずっと観ていたんだけど、最後のタイトルマッチに行こうかどうしようか迷っている間にチケットが売れてしまった。でロサンゼルスにいる友人に『何とかならないか』と電話して『もうない』と言われたんだけど、一日経って『1枚だけ手に入った』と連絡が来たんです。実は高倉健さんのために1枚取っておいたんだけど、高倉さんに話したら『俺が観るより沢木さんが観た方が良いんじゃないか。譲ってあげてくれ。』と言われたからもらっていいんじゃないか、と。それで観に行って、試合はモハメド・アリが滅多打ちにあって負けたんですけど、ホテルに帰って廊下を歩いているとパシャパシャとタイプライターで原稿を書く音があちこちから聞えてきて。僕は仕事じゃなくただ観に行っただけだったんだけど、本当なら高倉さんが観るはずの試合だったんだ、と思って。高倉さんのために試合のレポートを書こうと、長い手紙を書いたんです。そしてそれを送ったら高倉さんから『ありがとう』と返事が来て、そこから始まったんです。」
次は美空ひばりさん。沢木さんが司会をしていたラジオ番組に美空さんがゲスト出演した時のエピソードです。
「番宣か何かで写真を撮る必要があって、僕jと美空さんを撮り始めたカメラマンが『ちょっとすみません、一歩後ろに・・・』と言ったら美空さんが『この人変なこと言うわね、自分が前来るか下がれば良いじゃないね。私たちに下がれとか、不思議な人ね。』って・・・。流石に君たちだって言わないだろう?」(沢木さん)
「言わないですね(笑)。でも半分冗談のつもりもあったんでしょうね。」(吾郎)
「まあそれもあるかも知れないけど、美空さんは真面目だから。君たちSMAPは圧倒的な存在感だけど写真を撮られるときに『そっちが動けよ』なんて言ったことない?」(沢木さん)
「まあ、ないですね。グループだからその時皆気分も違うし、それが冗談として通じない時もあるから。僕はおとなしくしてましたけど。」(吾郎)「あ、そう」(沢木さん)
「独特な緊張感があったので、グループっていうのは。」(吾郎)
「それ面白いね。あなたは よく 緊張感、って 言ってる けど、僕はグループとしての緩やかな安定感があるだろうと思うんだけど。君は緊張感って言いますね。」(沢木さん)
「あ、そうです、それは常に思っていたことなので。なんだろう、この緊張感・・・。」(吾郎)
「その方向性は4方向へ行ってるの?それとも誰か一人とか二人に行ってるの?」(沢木さん)
「いや、そのグループにいるって事自体が。そこにいさせてもらってるというか、僕はよく言ってたんですけど、大企業に勤めている感じで。」(吾郎)
「なるほど。でもそれはあなた独特の感覚?」(沢木さん)
「僕独特だと思います。自分の一部だと思ってた人もいると思うし・・・。そうですね僕独特の感覚だったし・・・年上もいたし下もいたし・・・。」(吾郎)
「真ん中だよね。」(沢木さん)
「そう、僕自分で中間管理職って言ってたんですけど、自分の置かれた立場とか求められるキャラクターとか、ポジションというものが・・・すごい緊張感があったんです。」(吾郎)
沢木さんのテンポ良い質問に真面目に答えた吾郎でしたが
「僕がゲストみたいになっちゃってますね。」
と気がつきました。
「そういつの間にか。ハーって思った、こういう事なのか、って。」(外山さん)
「気持ちよく喋っちゃった。すごいね、インタビューするところ初めて見ちゃった。」(吾郎)
二人の会話を聞きながら、沢木さんは「ふふふ」とちょっといたずらっぽく笑いました。

続いて代表作「深夜特急」について。沢木さん26歳の時インドのデリーからロンドンまで乗り合いバスで旅した記録は、ノンフィクションの金字塔としてまた旅行者のバイブルとしてあまりにも有名です。
その「深夜特急」から出発前夜の様子の部分を吾郎が朗読。
インドのデリーからロンドンまで乗り合いバスで行けるか、について沢木さんの友人たちの予想は9:1で「否」でした。そこで賭けをしたのです。

一口千円、前払い、行けなかったら倍にして返すという約束だった。
私は彼らから金を受け取る際、こううそぶいたものだった。
「三ヵ月か四ヵ月後には、ロンドンの中央郵便局から
《ワレ成功セリ》
って電報打つから楽しみに待ってろよ」

最初に旅に出る時本を書くつもりはなかった、と沢木さん。
「アウトプットではなくインプットをしたかった。でも1年くらい経って色々な経験をする中で『これは書けるな、書きたいな』という気持ちになってきて、旅の最後には書こうと思ったけど、書けなかった、何年も何年も。」
「でも書き留めてはいたんですよね?」(吾郎)
「じゃなくてね、手紙を書いていたんです。百通ぐらい、長い手紙を。それと日にちと行程と、かかった費用、金銭出納帳と手紙があったので書けたんです。」(沢木さん)
「でも何年かは書けなかった・・・」(吾郎)「7、8年」(沢木さん)
「整理がつかなかったのかな?」(吾郎)
「不思議なのはね、僕にとっては『深夜特急』を書いたときに、その旅が自分の中から消えていった。書かない間の7、8年はその旅がずっと存在してて、ある種の重さがあった。だけどこれで整理しちゃったのですうっと体から消えていった。だからどっちがいいか分からない。」(沢木さん)
「この歳になってから深夜特急みたいなことを始めても大丈夫ですかね?」(吾郎)
「あなたは今、新しい地図・・・になって、比較的自由なんでしょ?」(沢木さん)
「そうです。だから本当は行けるんですよ。新しい地図なんて言って地図持ってるはずなのに。ちょっと憧れますね。僕は若い頃こういう経験が出来なかったので。」(吾郎)
「旅で一番重要なことは何か、というと“人に聞くこと”なんですよ。旅先で人に聞く。分かってても聞く、むしろ。例えば僕が『駅にどうやって行くんですか?』って聞いているのを若いジャーナリスト達が見ていて『沢木さんは何でも人に聞いちゃうんですね』と言うけど、何でも人に聞く。」(沢木さん)
「そのへんの抵抗は・・・」(吾郎)
「全然ない。知らないんだから。で、聞く。場合によってはそこから何かが出てくる。」(沢木さん)
「ドラマが生まれるわけですね。」(吾郎)
「そう。尋ねて、耳を澄ませて、聞くんです。旅をするコツは何ですか?と聞かれたら“人に尋ねる”事なんです。」(沢木さん)
「そうか・・・これ聞きたい人多いよね。」(吾郎)
「人に聞く、人との出会いがすごかったじゃないですか、この本は。」今までずっと聞いていた外山さんが口を開きました。
「こうやってずっと君のことを見ていたら、面白いと思うよ、俺。」沢木さんは目を輝かせて吾郎を見ました。
「照れちゃいますね。」(←このくだりのBGMがピアノインストの「オレンジ」だったのでもう泣きそう・・・)

そしてAD山田くんがスケッチブックを持って登場。最後の消しゴムはんこ披露です。「最終回なので」ゲストの沢木さんと吾郎と外山さん3人の顔、そして左下隅にははんこを彫る山田くんの姿も。
「なんか4人家族みたいだよ。」(吾郎)「ほんとだ」(外山さん)「ありがとう!」(沢木さん)場がほのぼのしました。山田くんありがとう。
「またお話しさせて下さい」(吾郎)
「喜んで。頑張って下さい。」沢木さんは力強く言いました。最初から最後まで颯爽とした方でした。

しかし番組はここで終わりません。今までの課題図書322冊に囲まれて、吾郎が最後の朗読をしました。
「僕の大好きなフレーズがあるので、そこを朗読させていただきます。」
今回の課題図書「銀河を渡る」から、吾郎が今伝えたいこととは・・・。

あるとき、年長の作家にこんなことを訊ねられた。
「もし家に本があふれて困ってしまい処分せざるを得ないことになったとしたら、すでに読んでしまった本と、いつか読もうと思って買ったままになっている本と、どちらを残す?」
「当然、まだ読んだ事のない本だと思いますけど。」
すると、その作家は言った。
「それはまだ君が若いからだと思う。僕くらいになってくると、読んだことのない本は必要なくなってくるんだ」
歳をとるに従って、あの年長の作家の言っていたことがよくわかるようになってきた。
そうなのだ、大事なのは読んだことのない本ではなく、読んだ本なのだ、と。
先日も、書棚の前に立って本の背表紙を眺めているうちに、なんとなく抜き出して手に取っていたのは、トルーマン・カポーティの「犬は吠える」だった。
この「犬は吠える」において、私が一番気に入っているのは、中身より、そのタイトルかもしれない。
犬は吠える、がキャラヴァンは進む――――アラブの諺
誰でも犬の吠え声は気になる。
しかし、キャラヴァンは進むのだ。
いや、進まなくてはならないのだ。
恐ろしいのは、犬の吠え声ばかり気にしていると、前に進めなくなってしまうことだ。
犬は吠える、がキャラヴァンは進む・・・・・・。

読み終わった時吾郎は唇をきゅっと結びました。吾郎の強い意志が表れているようでした。

そして山田くんも入って、いよいよ最後のご挨拶です。
「8年間毎週毎週楽しみにしてくださった方がいっぱいいたので、終わってしまうのは勿論寂しいんですけど、これを続けられたことを本当に感謝してますし、何よりも見てくださった視聴者の方にはほんとに心から感謝してます」(吾郎)
「ゴロウ・デラックス、8年間ありがとうございました。」(外山さん)
「いつかまたどこかでお会いしましょう、さようなら!」(吾郎)
最後は3人が元気に手を振って終わりました。



こうして「ゴロウ・デラックス」は8年間の幕を閉じました。
吾郎、外山さん、山田くん、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。
思えば、スタッフが入念に課題図書を選び著者の方に取材し、吾郎と外山さんがしっかりと読み込み、収録では著者の方と誠実に対話することで成立してきた番組でした。番組を支え続けたスタッフの皆さんの熱意に改めて感謝します。
吾郎と外山さんが読者目線で著者と語るからこそ貴重なお話が聞けたし、芥川賞・直木賞受賞作からマニアックな趣味の本まで幅広い本を取り上げられたと思います。何より出版業界の皆さんの信頼を得られた事が一番誇らしかったです。
山田くんの消しゴムはんこの才能が開花したのも「ゴロウ・デラックス」の功績ですね。
「ゴロウ・デラックス」のお陰で今まで知らなかった作家や自分が手に取ったことのないジャンルの本を知ることが出来ました。8年間とても楽しかったです。
これだけの素晴らしい番組、また何かの形で(改編期の深夜の特番ででも良いので)復活していただきたいです。

旅は終わる、次の旅立ちのために。そして新たな旅路のどこかでまた会える日を信じて。


拍手ありがとうございます

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プロフィール

はちミツ

Author:はちミツ
【注意:当ブログの内容の無断転載は禁止します。】

稲垣吾郎さん大好き、SMAP大好き!の主婦。
吾郎ファン歴は26年目になります。
彼らがいつかまた集まりたいと思った時そうできるように、彼らがそれぞれ今いる場所で益々輝いていってほしいと願っています。
だから「SMAP大好き」という気持ちも「新しい地図の3人の活動を応援する」気持ちも私の中では同じ一つの思いなのです。
神奈川県在住。

近況
①毎週水曜日は「an・an」の「稲垣吾郎のシネマ・ナビ」をチェック!。
②「稲垣吾郎オフィシャルブログ」、twitterアカウント @ingkgrofficial も必見!
③「ゴロウ・デラックス」再開熱望!

メールは↓へ。
walkwithgoro☆hotmail.co.jp
(☆を@に変えて下さい)

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