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美少女イラストと白いワニ伝説 (「ゴロウ・デラックス」 3/15)

ゴロデラは今回を含めて残り2回になりました。
でも今回のスタジオには可愛い女の子のイラストが何枚か並べられ、華やかな雰囲気になっています。
「吾郎さん、可愛い女の子は好きですか?」(外山さん)
「もちろん好きですよ。ときめきますよね。」(吾郎)
可愛いイラストに囲まれて、今夜はゲストさんからどんなお話が聞けるのでしょうか。

江口寿史さん、62歳。美少女のイラストを描かせたらこの方の右に出る物はいないと定評のあるギャグ漫画家です。代表作は1981年「週刊少年ジャンプ」に連載されていた「ストップ!!ひばりくん!」。キュートでセクシーなキャラクターが大人気となりましたが、当時の連載漫画ではタブーとされていた休載を連発。すると徐々にイラストの依頼が増え、現在では雑誌の表紙やポスター、CDジャケットなどを手がける人気イラストレーターとしても活躍されています。滅多にテレビに出演されない江口さんに仕事論や漫画界に残る伝説的エピソードを伺う機会は貴重です。

去年画業40周年を迎えた江口さんに長続きの秘訣を伺うと
「ちょいちょい休むことですかね・・・。描けない時は描けないので無理はしない。」と笑いました。ちょっとお顔が赤いのは
「早めに来てしまいまして。お店に入ってコーヒーでも飲もうと思ったら人でいっぱいで入れなくて、隣の店に入ったらビールの店だった・・・。」から。お酒にはあまり強くなくてすぐ赤くなるのだそうです。

課題図書 : 「step」 江口寿史 (河出書房新社)

画業40周年を迎えた江口さんの最新イラスト150点以上を収めたイラスト集です。
まず江口さんの現在の心境の部分を吾郎が朗読。

還暦を過ぎてしまいました。
40~50までは歳のことなど気にしたこともなく、のほほんと過ごしてきましたが、ハッと気づけば60.
「60!」
という響きにはさすがの僕も凹みましたよ。
自分の人生ももう終盤か・・・・・・。
ああ、今年もまた桜の季節だな・・・・・・この桜もあと何回見れるんだろう。とかね。
若い頃は60になった自分など想像も出来なかった。
でもね。
皆さんもなってみるとわかると思いますが、60になっても、頭の中身やセンスは30くらいの時とほとんど変わらないんですよ。
確かに多少の体力の衰えは感じる。
仕事で徹夜がめっきりできなくなった(昔からだろ)。
朝まで酒が飲めなくなった(いや飲まなくていいから)。
だけどいまだにあれもやりたいこれもやりたい、まだまだ絵も上手くなりたいし、モテたいし恋もしたい(嫁いるだろ!)。
枯れるどころじゃない。
まだまだ煩悩に絡みとられた欲の塊なんですよ。

「僕はまだ想像できないけれど・・・。変わらないのかなぁ、還暦になっても」と吾郎。(一方、その吾郎の朗読を聴きながら私は首がもげるほど頷いてしまいました、分かる!分かる!。)
「早く無くなって欲しいんです、欲とか。」(江口さん)
「無くならなくていいですよ、仙人じゃないんだから。」(吾郎)
「まだまだ絵も上手くなりたいし、っていう気持ちが素敵だと思います。」(外山さん)
吾郎と外山さんにそう言ってもらえて私はなぜかホッとしました(←私に言ってくれたわけじゃないから!)。
「この絵、好きだな。なんかちょっと人間っぽくなくて。」吾郎が表紙の絵を見て言いました。
「ありがとうございます。これは元々CDジャケットの絵なんです。CD屋さんのあの膨大な数の中で、来るお客さんを見据える感じにしたかった。」と江口さん。こっちを見ているようで見ない感じになるように、パソコンの中で目をミクロン単位で延々と微調整したそうです。
女性の外山さんの感想としては「友達になりたいタイプ」と「自分が生まれ変わったらこうなれたらいいなタイプ」があるそう。それを聞くと江口さんは
「僕が生まれ変わったらこうなりたい女性を描いています。」
ときっぱり。
「ああ、こういう子を恋人にしたいとか、こういう娘が欲しいとか、じゃないんですね?」(吾郎)
「僕がなりたい。今度生まれ変わるとしたら、女ですね。女性になれない恨みで描いてる。」と江口さんから意外な答えが。若い女の子たちが「江口さんの絵みたいになりたい」と言ってくれると、ご自分の中の満たされなかった部分が満たされる感じで「気が済む」のだそうです。

そんな江口さんは雑誌の連載用に男性芸能人のイラストも描いていて、その中には・・・
「実は吾郎さんも描いたんですよ」
そう、吾郎、剛、慎吾の3人を描いた作品もあるのです!
「うれしい、すごいうれしい!そっくり!」と吾郎は大喜び。
剛と慎吾は正面を向いていますが、吾郎だけ横を向いています。その理由は
「吾郎さんは心ここにあらず的な表情をするじゃないですか。そこがすごくかっこよくて。あとメガネがすごく似合うんですよ。だから絶対メガネを・・・。それとヒゲが似合う。」と。
江口さん素敵なイラストをありがとうございます。

「ストップ!!ひばりくん!」の主人公は美少女・・・のようで実は女装した男の子です。
「結構な設定じゃないですか?」(吾郎)
ギャグ漫画は王道を茶化す役割があるんです、と江口さん。当時ラブコメが全盛だったのでそれを茶化そうとしたそうです。ヒロインを男にしたのもそのため。少年誌の場合、主人公を可愛い女の子にすると人気投票に如実に出る、という戦略もありました。少年漫画で受ける要素を全部入れ、とにかく主人公(女装した男の子)を可愛く、表紙もかっこよく、と絵にこだわった結果
「週刊連載がきつくなってきた。」
そして少年漫画史上に残る伝説が生まれました。
1.幻の白いワニ伝説
「これは未だに言われます。」と苦笑する江口さん。どういう事かというと、
「原稿用紙が白いまま、毎週13枚ある。それがワニに見えてしまうっていう妄想・・・を描いた。」
当時ギャグ漫画家には、5年もすると精神がすり減って描けなくなってしまうという「5年寿命説」があったのでそれを逆手に取り、壊れたフリをしようと、白い原稿用紙に
「今回はワニに襲われて描けませんでした」
と描いたのです。
「アイディアが出ないとかではなく、本当に物理的に間に合わなかったんですね。」(吾郎)
「週刊なのに10日くらいかかるようになってしまって、計算が合わなくなった。描けないですもん!大体人間の仕事じゃないもん!毎週描くのなんて!」江口さんは子供のような口調で訴えました。でも
「今は漫画家さんも休みたいときに休めるようになって、良い時代です。」とのこと。昔は休載すると「犯罪人みたいに言われてた」そうです。
「毎週連載するってホントに大変なことなんですね。」(吾郎)
そして、
2.「ストップ!!ひばりくん!」衝撃の未完伝説
「どういうことですか?」(吾郎)「終わらない!」(外山さん)
「普通に描く週で、ネームは出来てて、絵も10ページくらいは描けたのかな?あと5ページが2日しか残ってなくて、『もうこれは無理だわ』と。限界だったんでしょうね。・・・それでバックレてほっぽって逃げてしまった。」(江口さん)
「大胆な行動で・・・」(吾郎)
2日ほど連絡を絶ち、全てが終わった頃に家に帰って集英社へ行きました。
「(編集長に)『どういうつもりだ?』と言われて『週刊がキツいので隔週か月一でやらせてくれないでしょうか』と直談判したら『分かった。分かったけどうちじゃその体制できないから他でやれ。うちじゃ面倒見きれない』と言われて終わりました。」(江口さん)
こうして「ストップ!!ひばりくん!」は「少年漫画は死んだっ!」と言う斬新な台詞を残して1983年に連載終了となってしまいました。しかし、
「27年の時を経て、2010年に完結させたんですよね!」(外山さん)
そのきっかけは「ストップ!!ひばりくん!」のコンプリート版を出すことになり
「最後ちゃんと描いて終わった方が読者は嬉しいだろうな、と・・・。」
やはり江口さんの心にずっと引っかかっていたのです。
「完結と言っても、『物語は続いていく』感じの終わり方なんですが。」
実は江口さんの作品には「ストップ!!ひばりくん!」以外にも未完の作品が多くあります。
「世界は続いていく」みたいな終わり方が多いのですがその理由は
「人生は続いていくので。その瞬間にカメラを当てて、そこから僕のほうが去って行けばいいと。だから(漫画の中の)世界はまだ続いてる。終わらせるのが寂しい感じがするんですよね。人の漫画を読んでいても終わりが近づくと『ああもうこれだけしか読めない・・・』と感じて。」(江口さん)
「小説でも映画でもそうですよね。」(吾郎)
「人生は続いていく」というのは映画「半世界」のテーマでもありますよね。江口さんのこの言葉を聞いて私は胸がジーンとしました。

今回江口さんの仕事部屋を特別に撮影してきて頂きました。
玄関には江口さんのイラストが飾られ、伝説の白いワニも下駄箱の上にいます。奥に進むと机と本棚が。机の上には大量の筆ペンが整然と並べられ、本棚の中もきれいに整理されています。
「僕整理魔なんですよ。掃除大好き!散らかっていると気持ち悪くなっちゃって。」
「やっぱり綺麗なものがお好きですから。綺麗なものを描いてる人は綺麗にしてるんじゃないかな?」(吾郎)
ギャグ漫画を描くのも頭の中の整理だと江口さんは言います。頭の中でごちゃごちゃしているものをパズルのように漫画の中に収めるのが気持ちいいのだそうです。
ところで江口さんは最近新しい試みを始めています。それはイベントで来た人の似顔絵をその場で描くこと。
「僕の好きなアーティスト30人を集めてTシャツ展をやったんですよ。そこに来た2~3人がとても上手くて下書きしないでパパッと描いちゃう。それを見て羨ましくなっちゃって。今までこういうことをやってこなかったな、って。」
ということで、外山さんをモデルに江口さんが即興スケッチを披露してくださいました。
「目が大きいな」と言いながら江口さんはペンを動かします。「早いですね!」と吾郎は隣で見て感心しています。そして10分後に出来上がった似顔絵は・・・
「細く綺麗に描いて頂いた」(外山さん)
「アナウンサーっぽい。ハツラツとして元気で、意気揚々とした感じが外山さんっぽいよね。」(吾郎)
「わぁ、ありがとうございます!」外山さんはにっこり笑いました。
外山さんを描くポイントは目と口だそう。「口が失敗したな・・・」と江口さんは反省していましたが、外山さんの元気な雰囲気が良く出ていました。外山さんには良い記念になりましたね。

今後については、
「今年は漫画を描こうと。毎週は描かないですけど(笑)出来る範囲で描こうと思っています。」と江口さん。楽しみですね。

人生は続いていく。その中でいつでも新しいことに取り組んでいく。江口さんのそういう姿勢はとても素敵だと思います。


さて、次回(28日深夜)はいよいよ最終回。沢木耕太郎さんと吾郎がどういうお話をするのかしっかり見届けたいです。


拍手ありがとうございます

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