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むごたらしく美しく (「ゴロウ・デラックス」 1/18)

今日はロケです。二人の後ろには赤いリースのかかった白いドア。おしゃれな雰囲気です。これから吾郎が大好きだという漫画の制作現場にお邪魔します。

課題図書 : 「イノサンRouge」 坂本眞一 (集英社)

舞台は18世紀のフランス・パリ。ルイ16世やマリー・アントワネットを処刑した実在の死刑執行人一族・サンソン家を描いた物語です。
吾郎もハマった「イノサンRouge」の魅力は、まず圧倒的な絵の美しさ。18世紀フランスの建築や衣装を忠実に細かく描き込み、残酷でグロテスクな処刑シーンですら美しく描いています。坂本さんのが力は世界的にも認められ、世界中の芸術的漫画作品を集めたルーブル美術館特別展「ルーブルNo.9」に展示されたほど。しかし意外にも坂本さんの絵は完全な独学だそうです。
「北斗の拳」に衝撃を受けて漫画を書き始めた坂本さんは18歳で漫画家デビューしましたが、その後約20年間不遇の時代が続きました。しかし38歳の時登山家を描いた「孤高の人」で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞して脚光を浴び、2013年の「イノサン」、2015年の「イノサンRouge」で男女問わず人気を博したのです。

坂本さんに案内されて吾郎と外山さんはアトリエの中へ。たくさんのアシスタントさんが作画のお手伝いをしています。しかも全員パソコンで。
「求められるもの、細かすぎません?」
吾郎は、PCでシャンデリアの画像を見ながらシャンデリアの絵を描いているアシスタントさんに声をかけました。まるで写真のように細かく描き込まれています。人物や構成などは坂本さんが、衣装や背景などはアシスタントさんが担当します。
「気が遠くなる・・・機械式時計を作っている職人みたいな。」と吾郎が上手く例えました。
アトリエの壁にちばてつやさんからの直筆メッセージが飾られているのに感動しました。ちばさんも以前「ゴロデラ」に出演してくださいましたね。何かの縁を感じて嬉しかったです。
坂本さんは、作品を描くための資料となるたくさんの本や骨格を意識するための外国人の写真(雑誌のグラビア)や人体模型の他に、18世紀の衣装まで再現してアトリエに置いています。坂本さんはこの衣装をアシスタントさんに着せてポーズを取ってもらい「感情だとか細かい心理を体の指先まで表現してもらう」のだそう。
そこへ衣装を着た男性アシスタントさんが登場。
「僕はちょうど今こんな感じの方たちと共演していますよ。市民革命後のウィーンが舞台なんで。」と吾郎は舞台「No.9」の話をしました。しかしそのアシスタントさんが木製の長い剣を持つと吾郎はすかさず両手を背中に回してそのアシスタントさんの足元にうずくまり、処刑される罪人を演じて見せました。その反応は素早かったです。さすが吾郎!
そうやって坂本さんはアシスタントさんと意見を交わしながら場面を作っていくのです。
坂本さんももちろんパソコンを駆使しています。何度も描き直しが出来るのがデジタルのメリット。そしてその過程をアプリで公開もしています。
坂本さんのアプリ「イノサン画集G」ではここでしか見られない画像や作画の様子を見ることが出来ます。「すごいすごい!」と吾郎は大興奮。
「グロテスクだけど綺麗。グロテスクなものにしかない美しさもあるしね。それを嫌な気持ちにさせないで、美しさだけを感じさせてくれる。」
吾郎のこの言葉に坂本さんも大きく頷いていました。
描いては消し、描いては消し、の作画の過程からは、坂本さんの不安や迷いも感じられます。完成した絵だけではなく、坂本さんの思考までもが見られるのは貴重です。
そして今回「イノサン」の世界観や美しい絵が大好きな吾郎のために、坂本さんが特別に吾郎の似顔絵を描いてくださいました。しかもデジタルではなくアナログで!
「絶対スタッフルームに持って行かないよ。僕がちゃんと家に持って帰るよ。」と吾郎は大喜びです。坂本さんから手渡された箱を開けると額縁に納められたイラストが。
「うわー、きれい!!」吾郎の声が思わず裏返りました。目が乙女になっています。
淡い紫で描かれた吾郎の髪と衣装。胸元に大きな白いリボン。手に白い薔薇を持った姿は稲垣吾郎であると同時に「イノサン」の登場人物にも見えます。
執筆で忙しく休みもない中、時間を見つけては計5時間もかけて手描きしてくださいました。坂本さん本当にありがとうございます。
「このまま漫画の中に登場しても全然違和感ない。」と坂本さんも満足げです。是非「イノサン」の中のどこかの場面にさりげなく登場させていただきたいです!
「スッゴイ嬉しい、本当に嬉しい。」と吾郎は絵をじっと見つめて言いました。吾郎の大好きな白い薔薇が描かれていたのも良かったですね。

絵の美しさだけでなくテーマ性のあるストーリーも「イノサンRouge」の魅力です。
死刑執行人一族のシャルル(兄)とマリー(妹)を主人公にした理由は、
「当時のフランスは職業選択の自由が全くないので、忌み嫌われている職業を生まれた瞬間から背負っている、自分ではどうにも出来ない絶望的な男を主人公にしようと思った。」
からだそう。死刑執行人というと強くて冷酷無比なイメージがありますが
「この作品では固定観念や先入観をぶち壊したくて、シャルル-アンリ・サンソン(フランス革命期に実在した死刑執行人)は泣き虫で臆病で優しい心を持った人物として描きました。」と坂本さん。
兄シャルルとは対照的に、妹マリーは自分の信じた道を突き進みます。そのマリーの人物像がよく表れているシーンを坂本さんのリクエストで吾郎と外山さんが朗読。革命の志士ジャックとマリーがそれぞれ思い描く未来をぶつけ合うシーンです。ジャックが思い描く理想の未来は「街に食べ物があふれ、子どもたちの腹は満たされ笑顔で学び舎に向かう。(中略)男たちは生まれに関係なく職業を選び、家族を守る。」それをマリーは「最悪」と切って捨てます。

「お前の思い描く未来には男しかいねぇのか?たらふく食ってヤりたい女とヤって好きな仕事に就いて、さぞかし男には都合良い世の中だな。
マリーの描く未来は男も女も関係ねぇ。
主役は自分だ!!!」

ジェンダーの問題をマリーに語らせることで当時の差別や虐げられた感情を表現したかった、と坂本さん。当時の革命の限界を描いたシーンでもあるように私は感じました。
「男もつらいよね。男に生まれたからには家族を守らなきゃいけない、という・・・」(吾郎)
「そう、どっちも間違ってはいないんですよ。」(坂本さん)
坂本さんはお子さんが生まれたことをきっかけに、母親や父親の立場を意識するようになったと言います。
「保育園の送り迎えを僕がやってたんですけど、その当時(約10年前)送り迎えに来るパパはそんなにいなくて、かなり浮いている感じになってしまって。自分の常識や先入観や固定観念をぶち壊してもらいたくて。」
ジェンダーレスを理想とするマリーに、坂本さんは自分の思いを託したのです。

そんな坂本さんの3人のお子さんは、なんと全員がレスリングの日本チャンピオン。特に中学3年生の娘・由宇さんはアジア選手権でも優勝し将来オリンピックでの活躍も期待されています。
ここでその由宇さんが登場。レスリングを始めたのは3歳の時。お父さんが家にこもりきりで一緒に遊べないので週末体を動かすためにレスリングに通い始めたらハマってしまったそう。
「本人が頑張っているのを応援しよう、と。どこまで行けるか分からないけど。」
と坂本さんは優しいお父さんの顔になりました。
ちなみに由宇さんは、お父さんの漫画は「読んじゃダメ」と言われているそうです。まだ早いかもしれませんね。

最近出た「イノサンRouge」第9巻ではルイ16世の処刑が描かれています。
「彼の処刑を受けてフランスの民衆が何を感じどう動くのかを是非ご一読いただければ・・・。」と坂本さん。
「すごい緊張感。」吾郎は圧倒された様子です。
グランドジャンプに連載中のこの作品、これからいよいよ盛り上がりそうです。

それにしても吾郎のパブリックイメージにこれほどピッタリな漫画があったとは!嬉しい発見でした。


拍手ありがとうございます

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