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BGMは「Paint It Black」 (「ゴロウ・デラックス」 11/9)

オープニング。
「今日は伝統工芸の職人さんがゲストです。」(外山さん)
「珍しいですね。」(吾郎)
「世界中を飛び回っているんですって。」(外山さん)
世界中を飛び回っている伝統工芸の職人さんってどんな方なんでしょう。

外山さんに呼ばれて入ってきたのは背が高くすらりとした男性。白いTシャツに眼鏡を引っかけ黒いジャケットを羽織っていて、雰囲気が吾郎にちょっと似ているかも…。
「職人さんという感じではないですね。」(外山さん)「俳優さんとか。」(吾郎)
この方は青柳貴史さん。硯を作る職人さんです。
「硯を作る為に世界中を飛び回っているんですか?」(吾郎)
「そうですね。硯は毛筆文化圏の中でしか作られていないので、日本、中国、朝鮮半島ですね。で中国は日本にくらべて大きいですから、北から南まで探せば日本よりも良い石がでる確率も大きいですし、中国の大陸の起こりからしても様々な石が出てくるので。」(青柳さん)

課題図書 : 「硯の中の地球を歩く」 青柳貴史 (左右社)

中国で生まれ5000年の歴史を持つ硯。採石地が限られているため硯は非常に貴重で、昔は皇帝への賄賂として使われたそうです。青柳さんはその貴重な硯の原石を求めて世界を飛び回る「硯ハンター」。また、青柳さんの作る硯は多くの書道家に愛用され、本場中国から皇帝が使っていた硯の修理を依頼されるほどの一流の硯職人でもあります。そんな青柳さんのディープな硯愛が詰まっているのが今回の課題図書です。
番組スタッフが、青柳さんが行ったり目星を付けている硯採石国の世界地図を作りました。最高級なものはやはり中国だそうで、
「端渓(たんけい)と歙州(きゅうじゅう)、それから後発で出てきてる澄泥(ちょうでい)、この3つが(中国)三大名硯です。」(青柳さん)
「全部行かれているんですよね?」(外山さん)
「はい、大好きな所です。」(青柳さん)
その他に「可能性あり」のところも。
「インド、ノルウェイ、ニュージーランドっていうのは、専門家の間で持っている地質図マップがあって、その情報によるとニュージーランドやノルウェイにも可能性はあるということなので…。」(青柳さん)
「夢があるよね、ロマンが。」と吾郎が言い、最近ある石との出会いがあった、と話しました。
「飛行機で海外に行って、帰りにね席を交換してあげたの。そしたら客室乗務員の方が『こちら石です』って。石のプレゼント。」(吾郎)
「へぇ、どういうことですか?石くれたんですか?」(外山さん)
「マダガスカルの。柄があって大きさはこのくらいの…」吾郎は手を丸めて見せました。写真で見るとつやつやに光ってとても綺麗な石です。
「なんか握り心地が良くて…」と吾郎が言うと
「あ、いいですねえ。」と青柳さんが反応しました。
「それを硯にしちゃいたい、という話で振られたんじゃないですか?(笑)」(青柳さん)
「違う違う、ごめんなさい、硯じゃない。」吾郎は思わず笑いました。

青柳さんが愛して止まない2つの硯について書かれた部分を吾郎が朗読。2つの硯をそれぞれ本妻とセカンドワイフに例えたちょっと官能的な文章です。

ぼくには妻が二人いる。
一人目は中国・安徽省出身で推定年齢一億歳以上。彼女はいつも家にいる。
夜、仕事を終えて帰宅すると、彼女と一緒にお風呂に入ることがささやかな楽しみだ。
タオルに彼女を忍ばせて湯船にそっと入れる。
気持ち良さそうだ。思わず笑みがこぼれる。
二人目は中国・広東省出身でやはり推定年齢一億歳以上。彼女はずっと工房にいる。
夜七時、一日の仕事納めに日記を書く。彼女の出番だ。
少しの水を垂らし、墨を軽くすべらせるだけで、とろーっと、ふわーっと墨がおりる。
そのとろみは彼女を一層艶っぽくさせる。

「完全に変態ですね、こうやって聞いてみると。」青柳さんはちょっと恥ずかしそうに言いました。
「いやいや、ラブストーリーですよ。」(吾郎)
青柳さんは実際に硯と一緒にお風呂に入っているそうで、
「やはり…水の中に浸けて出てくる石の表情だったり、美しさがあるんです。」
青柳さんの硯は私たちが一般的に見る硯と全く形が違うのだとか。
「そうなるとお会いしたくないですか?奥様に。」(外山さん)
「お会いできるんですか?」(吾郎)
「今日は何と、紹介して下さるそうです。」(外山さん)「嬉しい!」(吾郎)
青柳さんが最初に見せて下さったのは「本妻」こと中国・歙州硯の眉子紋です。
「すっごいキレイですね!」(吾郎)「こうなってるんですか!」(外山さん)
細長く丸みを帯びた黒い石の表面には斜めに波のようなでこぼこ模様があり、全体に滑らかな艶があります。
「液晶のチリチリチリ…としたのが(カメラで)拾えるかなぁ…」(青柳さん)
「ちょっとオーロラっぽい。」(外山さん)
歙州硯は安徽省の山で1億年以上かけて堆積した石で、複雑な石紋が出るのが特徴です。この硯は青柳さんが安徽省に行った時川の中から見つけたものです。
「硯っていうことは、ここ(表面)で墨を擦るんですか?」(外山さん)
「ここ全部を使って頂いて良いんですけど、触ってみるとここの肌とここの肌が違うんですよ。」青柳さんは親指で優しく硯の表面をなでながらいいました。
「こうやって触って良いんですか?青柳さんの奥さんを僕が触って良いんですか?」吾郎は身を乗り出しています。ある意味深夜番組らしくなってきました(←違う?)。
「官能的ですね。(笑)」(青柳さん)
吾郎は青柳さんがやった様に、親指の腹で石をそっとなでてみました。
「この感触が(墨の)擦り心地になるので…」(青柳さん)
「ほんとだ違う…あ~違う!…でもね、触り心地というよりか、まず見た目がすごい!川の流れにも見えるし、今にも天気が崩れそうな空にも見えるし、森にも見えるし魚にも見える。」(吾郎)
「こんなにキレイだとは思わなかった。…で、セカンドワイフも今日は持ってきて下さってるんですよね。」(外山さん)
青柳さんは嬉しそうにその「第二夫人」を取り出しました。本妻とは違い表面は一見ツルツルですが、アップにすると鋒鋩(ほうぼう)という繊細な凹凸が見えます。
「きれい、かっこいい。」(吾郎)
これは中国の端渓硯。広東省の山の中で1億年以上かけて生成された石です。「硯の王様」と呼ばれる端渓の中でも最上とされる「老坑」で採石されたものですが、老坑が封鎖されたため価値が高騰しています。青柳さんも自分では採石できず、この硯は中国のバイヤーから譲り受けたそうです。
「歙州硯は山を切り崩して採るんですね。これ(端渓硯)は海抜0m以下から採れる。山の底なんです。水を抜いてそこへ人が入って採る。」(青柳さん)
「山の中にあると思っていい?」(吾郎)
「山の内部です。地球の中です。」青柳さんはそう言うと「どうぞ」とその硯を吾郎に手渡しました。「こっちの方が表面がさらっとしてると思うんです。」
吾郎は両手で硯を受け取ると親指でゆっくりと撫でました。
「ほんとだ、ツルツルしてる。」そしてなぜか頬を近づけていきます。
「そうやって頬を近づけて指で擦ると音がするんです、磨墨音。墨を擦るときの音が分かるんです。」(青柳さん)
「ほんとだ!音でも楽しめる。」(吾郎)
「石って匂いもありますし、鉄っぽいとか砂っぽいとか。例えばこの歙州は鉄っぽいんです。でこの端渓はどっちかというと無味無臭なんですけど…。」(青柳さん)
「あれ?味覚までありましたか?」(吾郎)
「表現できるとすれば…端渓硯は清々しい。歙州硯はえぐ味がある。凄く似た石も出るので、自分が実際に行って石を掘って舐める事で、間違いなくここの石はこの味って分かるんです。」(青柳さん)
「いや石の味までは…」吾郎は圧倒されています。
「じゃあ、この二つを超える石を見つけたくて世界中を旅してるんですね?」(外山さん)
「まさにそうですね。」(青柳さん)

ということで、番組は青柳さんの採石調査に密着しました。
この日青柳さんが向かったのは千葉県の武蔵嵐山の山奥。
「ちょっと可能性があるかな、と思って来てみたかった。」と歩く足取りも軽やかです。
「成分調査をして可能性があれば2回目3回目を来てみたい。」
そう話す青柳さんは満面の笑顔。スタジオにいるときよりもはるかにニコニコしています。
そう言いながらも立ち止まって遊歩道の脇の山肌に目を光らせます。残念ながらここには硯になる石はありませんでした。
さらに山の奥へ。遊歩道ではない所まで行きます。
「山の全ての石は貴重な原石の可能性を持つ」
と考える青柳さんは道なき道を突き進み、「可愛かったり佇まいが良かったりする」石を拾います。そして
「どっかでさっきの石を加工したいんですけど。」
良さそうな石を見つけると、その場で硯化するのが青柳流。川の水で石を濡らし、石同志を擦り合わせて硯になるかを確かめます。
「これ、擦れますね。良いですよ。」と青柳さんは満足げです。やがて掌よりも小さな硯が完成しました。
すると青柳さんは筆箱のようなものを取り出しました。これは墨と筆のセットで、アウトドアメーカーのモンベルさんと一緒に作っているものだそうです。
「僕が山に来て日記を残すのに使ってる。可愛いでしょ。どこでも使えるんですよ。」と青柳さん。作ったばかりの硯で日記を書くのも青柳流です。
「ほら(墨が)おりるでしょ。しかもかなり良い。十分使えますよ。」
青柳さんは作った硯で墨を擦り、その墨で葉書を書き始めました(達筆!)。
「予備調査の段階ですけど、墨が擦れる石があったというのは非常に嬉しい出会いだった。満足です。」と青柳さんは喜んでいました。
青柳さん、密着させて頂き有難うございました。

そしてスタジオには青柳さんの作品をお持ち頂きました。
1つめは端渓麻子坑秋葉(しゅうよう)硯。中国で縁起が良いとされる植物・秋海棠(しゅうかいどう)が硯の縁に飾り彫りされていて、清朝末期に流行した硯を完全再現したものです。
「麻子坑という場所で採られたもので、縁に飾り彫りするのが清朝時代の代表的な彫り方ですね。秋海棠はたくさんの実りを付けるので、秋海棠の実を彫ることで…。」(青柳さん)
「豊作祈願」(吾郎)「そうですね、あと子孫繁栄。」(青柳さん)
「模様を彫るときは吉祥図案を彫るというのがフォーマットとしてありまして、描写的な彫刻を彫るのが特徴です。」(青柳さん)
「端渓ということはさっきのセカンドワイフと同じ…?」(外山さん)
「そうですね。」(青柳さん)
「黒くて細かい…」(吾郎)
「吾郎さん、段々ピンと来始めてますね。」青柳さんは嬉しそうです。
2つ目の硯は玄昌石天然如意池(にょいち)硯板。宮城県石巻市で採石された5000万年前の石で、特有の黒さを持っているため磨くと黒く美しい艶が出ます。軟らかいのも特徴です。
「側面がゴツゴツしていますよね。これ、東日本大震災で津波が引いた後に湾の中に残った石なんですね。ゴロゴロゴロゴロ転がされて傷が付いた。その傷をそのまんま残して吉祥(文様)の万事如意を彫ることで『復興が進みますように』と祈念して作ったんです。」(青柳さん)
「素敵ですね。」と吾郎。SMAPが毎週スマスマで東日本大震災の復興義援金の呼びかけを続けていた事と思わぬところで接点があって、私は嬉しかったです。
最後は黒くて上の面が平らな小石。
「小さいですけどこれ硯なんですか?」(外山さん)
「はい」(青柳さん)「えー!」(外山さん)
「これは火星と木星の間から飛んできた硯で…」(青柳さん)
「隕石って事!?隕石の硯ってあるんですか?」(吾郎)
「硯の定義は『墨を擦ることが出来る石』ですから。」(青柳さん)
この隕石で作った硯は地球上にない鉱物を含み非常に硬いそうです。火星や木星の間で小惑星になり損ねモロッコに落下した隕石から作られました。
「これは地球が誕生する前に出来上がった石です。」と青柳さんがサラリと言ったので
「えー!」「何それ?!」と外山さんと吾郎はびっくり。
「それで硯に適してたんですか?」(外山さん)
「これは適してます。」(青柳さん)
その会話を聞いていた吾郎は
「青柳さん…宇宙人が妻ですよ。」と静かに言いました。
硯は地球からの贈り物だと感じていましたが、宇宙からの贈り物なんですね。そして時間のスケールは地球を遙かに超えている…気が遠くなりそうです。

青柳さんは15年以上にわたって採石地を巡る旅を続けています。その旅の中で起こった心境の変化について書かれた部分を外山さんが朗読。

地球の視点は、ぼくの中でどのように育まれてきたのだろうか。
二十歳の駆けだしの頃は石を加工する技術、造形、様式のおもしろさに夢中だった。
二十七、八歳で独り立ちして中国へ採石に行っているときも、意識を向ける対象は山であり石であった。
「ここが硯の採れる山か」
という程度だった。それが当たり前だった。
三十五歳のとき、石の表情を残して造形している硯を目にしたとき、なぜ石の表情を残したのだろうか、これをつくった当時の人は何を考えていたのだろうか、という疑問が湧き上がった。
山に熱心に入り始め、日本各地、中国各地の石の表情と山の表情を見比べていった。
やがて、人工的な彫刻は地球がつくった表情には勝てないのではないかと考えるようになった。
そのとき、本当の大自然を感じた。
ぼくは「地球」に気づいた。

「壮大ですね…。地球と向き合うということだから、」(吾郎)
「僕にとっては国という境はないと見えてるんです。硯=造形ではなくて硯=石なんですね。そして石を誕生させてくれた地球…表皮一体です。」青柳さんのお話は壮大なスケールになりました。
「吾郎さんどうです?久しぶりに硯で墨を擦って字を書いてみたいという気になったでしょう?」(外山さん)
「その、ふわとろの感触を味わいたい…」(吾郎)
「ね、ふわとろって凄いですよね。」(外山さん)
ということで、青柳さんの指導の下、外山さんは本妻、吾郎はセカンドワイフをお借りして、ちょっと早い年賀状作りに挑戦しました。
「(硯に)2~3滴の水を垂らします。」(青柳さん)
「こんなちょっとで良いんですね。」(外山さん)(だから小石でも硯になるんですね。)
吾郎も2~3滴の水を硯に垂らしました。
「ここからは擦るだけ。」(青柳さん)
外山さんと吾郎は墨を擦り始めました。
「もっと大胆に大きく円を描くように…」(青柳さん)
「あ、出てきた出てきた、セカンドワイフから出てきた(笑)」と吾郎は嬉しそう。
「青柳さんの本妻ではなくセカンドワイフと向き合ってることに興奮してきた。」とはしゃぐのを
「なに変態みたいなこと言ってるんですか」と外山さんが冷静にバッサリ。
「ここでどちらからも墨の香りがしてくるはずです。」(青柳さん)
吾郎が擦りかけの墨を鼻に近づけて
「ああ、いい香り!」とうっとりしたので
「なんか小学生の稲垣君を見ているみたい」と外山さんは笑いました。
「そちらの墨はムスクの香り」と青柳さんが言うと
「これ、フランスのワインにもありますよ。この香りってワインにあります。」と吾郎は興奮気味に言いました。
擦っていくうちに段々とろみが出てきました。
「早く書きたい~!」と駄々っ子吾郎発動です。
筆に墨を含ませて「ふわとろだね!」と感触を確かめると吾郎は葉書に向かいました。
「こっちはサラッとしてる。」と言いながら外山さんも葉書に文字を書き始めました。
「書くの楽しくなりますね。」(外山さん)「楽しい楽しい。」(吾郎)
出来上がった吾郎の年賀状を見て青柳さんは
「僕はその年賀状をもらえるのを非常に楽しみにしてます。」と言いました。
外山さんの年賀状は可愛らしい感じに仕上がりました。二人とも楽しそうでした。

AD山田くんの消しゴムはんこは青柳さんの顔の隣に四角い硯を押したもの。スマホじゃなくちゃんと硯に見えるからさすがです。

そして最後に(画面右上に小さくですが)吾郎の舞台「No.9 -不滅の旋律-」の告知も出してくれました。当日券が発売されるそうです!そちらも楽しみですね。


拍手ありがとうございます


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GORO | コメント(0) | 2018/11/14 07:00
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