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2018/11/06 (Tue) 大作を完成させて (「ゴロウ・デラックス」 11/2)

今回の吾郎の衣装はピンクのシャツの襟を開けそこにスカーフを巻いたお洒落なファッション。これからはスーツでなくノーネクタイでいくのでしょうか。

オープニング。
今回は長年芥川賞の選考委員を務めている文学界の重鎮の方がゲスト。吾郎も外山さんも口々に「緊張する」と言っています。
「なかなかテレビに出られない方だと思いますし。」(吾郎)
そして二人の後ろには分厚い単行本がズラリと並んでいます。
「今回この作品が37年かけてついに完結されたということで。」(外山さん)
どんなお話が聞けるのでしょうか。

今回のゲストは宮本輝さん、71歳。1977年「泥の河」の太宰治賞受賞でデビューし、30歳の時2作目の「螢川」で芥川賞を受賞。現在は芥川賞選考委員を現役最長の23年務める日本文学界の重鎮のお一人です。
実は芥川賞選考委員の方がゴロデラのゲストにいらっしゃるのは今回が初めて。
「どんな雰囲気なんですか?」(吾郎)
「緊張しますね。人の運命を決めますから。」(宮本さん)「そうですよね。」(吾郎)
「僕ら選考委員は才能を見つける仕事なので。この1作がいくら良くてもこの人はもう次からは書けないだろう、と何となく分かる人もいるんですよ。」(宮本さん)「ああ、そうなんですか。」(吾郎)
「で、この人は今はそんなにたいした作品じゃないけど、年輪を経ていくうちにいい作家になるんじゃないかとかね。新しい作家を見つける仕事ですから。」(宮本さん)
「あ、その年の一番の作品を見つけるのではなくて…」(吾郎)「それももちろんありますけども」(宮本さん)
「その先?」(吾郎)
「その先の事を僕は考えますね。」(宮本さん)「そういうもんなんですね。」(吾郎)
「(選考委員)全員がそうかは分かりませんけど。だから1回読んでこれあんまり大したことないと思っても、2回目読むと『あれ?こんないいところもある』というところが出てくるんですよ。だから最低でも2回は読みます。」(宮本さん)
「だからこそ熟考された選考になるって事だよね。」(吾郎)

課題図書 : 「流転の海」シリーズ全九部 宮本輝 (新潮社)

主人公・松坂熊吾の50歳から71歳までの波乱の生涯を描いています。
「第九部『野の春』を書き上げて完結、ということで。」(外山さん)
「お疲れ様でした。」と吾郎は頭を下げました。
「本当に疲れました。」と宮本さんは笑顔を見せました。
宮本さんが34歳の時から書き始めた作品です。
「主人公より年下から始めて、ようやく同い年になったんですよね。」(外山さん)
「第五部くらいからね、世の中には『未完の大作』というものがある、と。それは作者が亡くなったからなんですけど、亡くならなくても小説が書けなくなる病気もいっぱいありますからね。『満月の道』(第七部)になると僕は60代に入ってきますから、あちこちガタがくるんです。で、ふと『これ、最後まで書き終えられるかな…』と。でそういう状態の時に限って読者からお手紙が届くんですよ。『私は今78歳で、ずっと『流転の海』を第一部第二部第三部…と読んできました。宮本さんもお年を召されてる。私が生きてる間に完結編を読むことが出来るでしょうか?』…イヤな手紙やな(笑)」(宮本さん)
「まあ、嬉しいけど…」(吾郎)
「嬉しいけど、そんなプレッシャーかけないでくれよ、と。だから夜でもふと目が覚めると今すぐにでも続き書かないと、何かあったら大変だ、とそんな状態がずっと続きましたね。」(宮本さん)(←その方がお身体に悪いと思いますが…)
「でも最後の五行は決まってたので、その最後の五行に持っていくというね。」(宮本さん)
「すごいね。想像を絶するね。」と吾郎は感心しました。

「流転の海」の主人公松坂熊吾と妻・房江、そして一人息子の伸仁(のぶひと)は実は宮本さんのご両親とご自分がモデルで、つまり「流転の海」シリーズは自伝的小説なのです。
ここでAD山田くんが大きなボードを持って入ってきました。「流転の海」全九部の内容が纏められています。これを使って「流転の海」シリーズの内容を見ていきます。
その前に主人公熊吾の人柄が分かる部分を第一部から朗読(抜粋)。
元部下・海老原が独立し、会社の新築披露バーティに熊吾が招待された場面です。

海老原は熊吾が怖かった。
怒らせたら伊予の突き合い牛よりまだ恐ろしい。
海老原は亜細亜商会を発展させて、三ノ宮駅の裏にあった五坪の事務所から、このレンガ造りのビルに移った際、取引き相手や、世話になった人間たちを招待してビルの新築披露宴をもった。
そのとき、周囲の人間の目を意識しながら、思わず、熊吾に
「松坂さん」
と呼びかけてしまった。
「松坂さんとは俺のことか」
熊吾は言うが早いか、テーブルの上に並べられていたローストビーフを手でつかみ、それを海老原の顔に叩きつけたのである。
それから熊吾は升酒をあおりながら、披露宴が終わって招待客が帰っていくまで、延々と三時間以上も海老原にからみつづけた。
海老原が土下座して謝るまで、熊吾は許さなかった。
うぬぼれるな。
お前なんかまだ小僧だ。
(中略)
海老原はそんな熊吾の形相を見て、実際殺されるのではないかと震えたほどであった。
熊吾の情の深さを知っている海老原は、自分のことを思って言ってくれていると感じながらも、人前で、それも晴れのビル新築祝いの席で恥をかかされた恨みを忘れてはいなかった。
海老原は、恩と仇とのふたつの感情をそれ以来ずっと熊吾に対して抱いているのである。

「実際のお父様もローストビーフを投げつけたんですか?」(外山さん)
「まあ、そういう人ですね。」(宮本さん)
まずそこに驚きますが、気性が荒く豪快な熊吾と家族の波乱の人生とはどのようなものなのでしょう。

時代は戦後の大阪。熊吾(50歳)と房江(36歳)の間に息子・伸仁が生まれるところから物語は始まります。
【第一部・流転の海】
元々営んでいた自動車部品会社を再建しようと熊吾が奮闘する中ある事件が…。部下に裏切られ百万円(現在だと約一億円)を失う。
【第二部・地の星】
病弱な妻子のため愛媛に帰郷、ダンスホールを経営し始めるが、妻の浮気を疑い暴力を振るう。
「結構酷いんですよね」(外山さん)
【第四部・天の夜曲】
富山で新事業を始めるも上手く行かず、大阪に戻り中古車販売業を始める。しかし…部下に会社の資金を持ち逃げされる。
「またですね。」(吾郎)「またです、部下に持ち逃げされてしまいます。」(外山さん)
更に私生活では…ストリップダンサーと不倫。
「奥さんのことは疑って殴ったりするくせに自分は浮気をするという…」外山さんは歯切れ良くズケズケと言いました。
「だいたい男ってそういうヤツが多いんです。」(宮本さん)
「そうですよね。ここは何なんだと思って。怒りましたよ。」(外山さん)
「僕は痛快でしたけどね。」(吾郎)
「そうですか?でも熊吾のことも嫌いにはなれないんですよ。だって、いい人なんだもん、とても。」(外山さん)「うん。」(吾郎)
「凄く人の面倒を見るし。こういう男の人って今あまりいないと思うし。」(外山さん)
「良い意味でも悪い意味でも明治の男ですよね。」(宮本さん)
その後も大型駐車場の運営に乗り出したり、中古車販売事業を再開したり、熊吾は仕事に邁進します。しかし…
【第七部・満月の道】
「板金塗装の事業を始めるんですが…またです、部下の不正経理発覚、大金を失う。」(外山さん)
「何回騙されたらいいのかな。」(宮本さん)
「ほんとですね」(外山さん)
【第八部・長流の畔】
熊吾の浮気が発覚。
「この浮気というのが、ストリップダンサーのひろみさんと再会しちゃうんですよね。」(外山さん)
「再会するもんなんですよ、やっぱり。」(吾郎)
宮本さんは思わず笑いました。
「で、家族にもバレてしまう。妻・房江はアルコール中毒に。さらに…自殺未遂。」(外山さん)
実はこの出来事がきっかけとなり、宮本さんは小説の世界にのめり込んだのだそうです。
「お母さんが自殺未遂した後、伸くんが押し入れの中で『あすなろ物語』を読むシーンがありますね。お母さんのお見舞いに行かずに、というか、行けなくて。」(外山さん)
「行けないというか、自分が行ったら息を引き取った母親を見るような気がしたんですよ。これも本当のことだから言いますけど。」(宮本さん)
「これも本当のことなんですか。じゃあこういう少年だったんですね、輝さんは。押し入れの中で…」(外山さん)
「ええ、絶対行かないと。助かったか死んだか、知らせが来るまでこの押し入れから出ない。で、本でも読もうと。」(宮本さん)
机の上にあった本と電気スタンドとを持って押し入れの中にこもったのです。
「それが、どうしてそんなに小説の世界にのめり込んだのか未だによく分からない。」(宮本さん)
「へえ、のめり込んだ…」(吾郎)
「で、あともうちょっとで読み終わる時に電話がかかってきて『助かった』と。その時の気持ちがね…助かった良かった、という思いと、母への憎しみ……いわば僕を捨てたわけですから。その時本を置いて、小説、文学っていうのは本当に素晴らしいものだなと思ったんです。『こんなに小説って面白いんだ』と。」(宮本さん)
「すごいね、その出会い方が。」(吾郎)

そして完結編(第九部)「野の春」から吾郎が朗読。熊吾が病気で倒れる前、息子に語る言葉に注目です。

「お天道さまばっかり追いかけるなよ」
と熊吾は言って、鍋焼きうどんができあがるまで待った。
(中略)
「わしは若いころからお天道さまばっかり追いかけて失敗した。お天道さまは動いちょるんじゃ。ここにいま日が当たっちょるけん、ここに坐ろうと思うたら、坐った途端にもうそこは影になっちょる。慌ててお天道さまの光を追って、いまおったところから動いて、日の光のところへとやっと辿り着いたら、またすぐにそこは影になった。
そんなことばっかり繰り返してきたんじゃ。
じっと待っちょったら、お天道さまは戻ってくる。お前は、ここと居場所を決めたら、雨が降ろうが氷が降ろうが、動くな。春夏秋冬はあっても、お天道さまは必ずまたお前を照らす」

これも宮本さんが実際にお父様から言われた言葉だそうです。
「でも凄い言葉だね…。」(吾郎)
「ご自分でそういう事をしてきて、その上での息子さんへの言葉ですものね。」(外山さん)
「言われたときにどう感じられたんですか?」(吾郎)
「本当にその通りだな、と思いましたね。そりゃどこだってね、完全に気に入った職場なんてないですよ。嫌なヤツはいるしね。だからそいつが辞めるまで動くなってことですよ。」宮本さんがそういうと吾郎は自分のことを話し出しました。
「僕はこの仕事をして30年経つんですけど、動きようがなかったというか。まだ子どもだったし、あまりにも世間のリアクションが大きかったというか。で天職って思い込んでしまった。」
「めったに誰も経験できない青春ですよ。」宮本さんは頷きながら言いました。
「今はもう他のことは出来るわけじゃないから。でも若いときには絶対そういう悩む時期って誰でもあるはずなんですよね。僕はそこにいなきゃいけなかったから。」(吾郎)
「これからもずっとそこへ坐っててください。」宮本さんの言葉は温かかったです。ありがとうございます。
「今完結されてお父様に伝えたいことは?」吾郎は居住まいを正して宮本さんに尋ねました。
「あの人がいなければこの全九巻ていうのは生まれなかった。そこへ松坂房江…母がモデルですけど…この二人がいなければ全九巻、原稿用紙7000枚の小説は生まれなかったわけで。だから…『お父さん、俺親孝行したやろ?』って言いたいですね。」(宮本さん)
「いやもう最大で最高の親孝行ですよね。」(吾郎)

そして今回は特別に宮本さんの書斎を撮影させていただきました。
「気が付いたら入ってきてました(笑)。」(宮本さん)
ということで、番組スタッフが兵庫県伊丹市の宮本さんのご自宅にお邪魔しました。
宮本さんの書斎は広く、窓も大きく明るくて、木目調の壁に木の机、温かみのある空間です。机の上にはパソコン、原稿用紙、万年筆、愛飲する煙草が置かれていて、作家の机らしい感じがします。
「(原稿は)2~3枚なら手書きですけど、70を過ぎるくらいの頃から手が震えるようになってきて、今はパソコンで打っています。」
第七部「満月の道」までは全て手書き。ご自分の名前入りオリジナル原稿用紙に万年筆で綴られた原稿も見せていただきました。その万年筆は
「Sailorの先っぽが非常に太いやつ。僕は筆圧がすごく高いので普通のだとすぐ先が割れてしまう。これだと頑丈なので。」
執筆は「大体2時からと決めている。」と宮本さん。2時から5時(調子のいいときは6時)まで書きあとは焼酎のお湯割りを飲むそうです。
机の隣にはベッドがあります。「これは僕の読書ベッド。仰向けになって読む。」と宮本さん。その為「ちゃんとした四六判の本を買っても別に文庫本も買う。」軽いので最近は電子書籍で読むこともあるそうです。2台の電子書籍の中にはそれぞれ400冊、500冊の本が入っていて、本に囲まれた生活なのがよく分かりました。
吾郎と外山さんは「ほぉ…」と感心しながら観ていましたが、VTRが終わると
「(筆が)進まないときもあるんですか?」と吾郎が訊きました。
「ありますよ、勿論。でもしょっちゅう考えてるんですよ。酒飲んででもテレビ見てても、やっぱりどこかで考えてる。『書けば名作が書ける』と自分に思い込ませるんです。書けなくとも書くんだと。」(宮本さん)

滅多にテレビにお出にならない宮本さんが今回伊丹から東京までいらして下さって、色々貴重なお話を聞かせて下さったのは本当に有難かったです。
吾郎も言っていましたが、とても楽しそうに話して下さったのが何よりも良かったですね。



拍手ありがとうございます
以下ちょっと脱線する話なので畳みます。

多分同じように感じた方もいらっしゃると思いますが、今回

「天職だと思ってしまった」

という吾郎の発言にひっかかりました。
10代からアイドルの仕事を全力でやって来て何の疑いもなく天職だと思っていたけれど、最近になってそれを根底から疑ってみた、という意味だと私は受け取りました。普通なら10代の時に考えるはずなのにその時間がなくて、40歳を過ぎてその問題に向き合ったのだろうと。
「今はもう他の仕事が出来るわけじゃないから」と吾郎は言っていましたが、考えた上でやはりこの世界で生きていく覚悟を決めたのだと思います。だって考えた結果辞めてしまう人もいるわけですから。
その決断が本当に嬉しいです。

「ありがとう」

とネットの片隅でそっとつぶやいておきます。


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はちミツ

Author:はちミツ
【注意:当ブログの内容の無断転載は禁止します。】

稲垣吾郎さん大好き、SMAP大好き!の主婦。
吾郎ファン歴は25年目になります。
彼らがいつかまた集まりたいと思った時そうできるように、彼らがそれぞれ今いる場所で益々輝いていってほしいと願っています。
だから「SMAP大好き」という気持ちも「新しい地図の3人の活動を応援する」気持ちも私の中では同じ一つの思いなのです。
神奈川県在住。

近況
①毎週水曜日は「an・an」の「稲垣吾郎のシネマ・ナビ」をチェック!。
②「ゴロウ・デラックス」(TBS)もお見逃しなく!
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