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2018/09/08 (Sat) 7年振りの新作 (「ゴロウ・デラックス」 9/7)

台風に続いて北海道の地震にも驚きました。揺れの大きさもあの広い北海道全域での停電もただ事ではありません。余震も心配です。どうか皆さんご無事で。

他方、ゴロデラが10月以降の継続が決まったという嬉しいニュースもありました。作家の皆さんにも出版業界の皆さんにも信頼され愛されているのを感じます。有難いことです。TBSさんにお礼の葉書を出します。

オープニング。
「吾郎さん、7年前何をしてたか覚えてますか?」(外山さん)
「7年前ってちょうどこの番組が始まった頃ですよ。」(吾郎)
「そうですね。今日のゲストはその7年前、西村賢太さんと一緒に芥川賞を受賞された方なんです。」(外山さん)
「そうか、西村さんはこの番組最初のゲストですから・・・もう7年か。」(吾郎)
「実は今回、その方が待望の新作を出されたんです。」(外山さん)
「ちょっと待って、それまで出されてなかったんですか?」(吾郎)
「そうなんですよ・・・」(外山さん)

「7年前に受賞されたにもかかわらず書かなかった。」(吾郎)
「早く出せ出せ言われたでしょうね、きっとね。」(外山さん)
「その辺もちょっと興味ありますね。」(吾郎)

「ごめんください」と楚々と登場した朝吹真理子さん。モデルさんのように美しいお顔立ちです。
朝吹さんは2009年、24歳の時「流跡」でデビュー。そのわずか2年後の2011年に「きことわ」で芥川賞を受賞しました。彗星のごとく現れた新しい才能に次回作の期待は大きかったのですが、なぜかその後次作が出なかったのです。
今回は7年かかった新作や独特の執筆スタイルについて伺います。
バラエティ番組に出演するのは初めてだそうで
「だいぶ緊張されてるとスタッフの方が・・・」(吾郎)
「はい、緊張しているんですけど、友人の山下澄人さん(昨年2月ゴロデラ出演)に『実はゴロウ・デラックスにお邪魔する事になった』とLINEしたら『全然緊張する事ない、広大なスタジオの中にポツンと小さく(セットが)あって、プロフェッショナルなお二人が全部進行してくださるから大船に乗った気持ちでいればいい』とアドヴァイスをもらって、今日来ました。」と朝吹さんは笑顔になりました。
「嬉しいですね。」と吾郎。本当にゴロデラに出てくださった作家さんが喜んでくださるのは嬉しいです。

課題図書 : 「TIMELESS」 朝吹真理子 (新潮社)

恋愛感情がないまま結婚したうみとアミ。そんな夫婦が六本木の街を散歩しながら高校時代の思い出や400年前の江戸時代など、様々な時代の記憶を巡らせる不思議な物語です。
「なんで7年間書いてくれなかったんですか?」吾郎はちょっと唇をとがらせて訊きました。
「いや、頑張って書こうと取り組み続けて、ようやく・・・奇跡的に書き上げる事ができたっていう・・・。小説を書く時ってまず3行くらい書くんです。まず3行書いたら、次の4行目を推進してくれる大事な3行になるからその後が続いていくと思うんですけど、私の場合はなぜか、3行書いて少し休んで4行目に行くかと思ったら、また1行目を推敲しちゃう。だからその3行の中で何年間もずっと流転してしまって何度も(物語が)始まる事だけが続いていったんです。」(朝吹さん)
「その3~4行を編集者に見せたりしなかったんですか?そうすれば『こうしたらいいとか』・・・」と吾郎。確かにそうした方がアドヴァイスがもらえそうですよね。しかし
「3~4行を書いて消して書いて消している間は・・・私はそれを『おかゆ』と呼んでいるんですけど・・・米みたいに粒立ってなくてドロッとして塊になってない・・・それを見せる事って恥ずかしいんです、裸より全然恥ずかしくて。とにかく見せたくなくて固辞してたんです。」と朝吹さん。担当編集者の方も根気が要りますね。
「次の締切までには30枚書けますとか、偉い事言うんですけど結局書けなくて、それを何回もくり返しているうちに編集者の方も(コイツは絶対書けない)と思ったんでしょうね、今持ってるものを見せろ、となって。」(朝吹さん)
「言われますよね。」(吾郎)
「で見せたら『握りすぎて腐った寿司』だと言われて。腐ったおかゆを見て絶望みたいな顔をしてました。」(朝吹さん)
練りすぎてもダメなんですね。ある程度鮮度も大事なんでしょうか。

ここで小説の冒頭部分を紹介。

もしまたべつの生きものとしてこの世にあらわれねばならないとしたら、なにに生まれたい。
高校二年生だった。放課後、教室に残っている生徒は私たちをのぞいてほとんどいなかった。いたのかもしれないけれどそういった気配はすべて雪に吸われていた。


「いろんな執筆スタイルの方がいらっしゃいますね。」(吾郎)
「なんか、山下さんにも『ポンポン書けばいい』みたいな事を気楽に言われましたけど、中々私には難しかったです。」と朝吹さん。外山さんも頷いています。
「西村京太郎さんとか凄いですよね(年間12作書く)。9時~17時で書く人もいれば・・・」(吾郎)
「角田光代さんですね。カッコイイですよね。憧れます。」(朝吹さん)
「職業=作家って、方もいれば・・・」(吾郎)「スパッとやめる、ってね。」(外山さん)
「でも良かったですね、素敵な作品ができて。」(吾郎)
「なぜ書き上げられたのか自分でも疑問のうちに書き上がりました。」(朝吹さん)
「僕、すごい好きです。なんか気持ちいいよね、フワフワしてくるというか。なんかまどろんだ感じが。」(吾郎)
「そうですね。ずっと不思議の世界にいる感じで。」(外山さん)
「あとね、声に出すと気持ちいいんですよ。」(吾郎)
「嬉しいです。普段、エッセイも何もかも全部声に出して書いてるので、そう言って頂けると本当に嬉しいです。」(朝吹さん)
声に出して書いている、なんてお話が聞けるのもゴロデラならではですね。
そこで吾郎の朗読TIME。恋愛感情が持てない女性「うみ」の心情が描かれた部分です。

うみは秘密が多そう、とずっと言われてきた。
わかる、クールだしね。
何もないから言わないだけだった。人を好きにならないから恋愛の話をしないだけだった。恋をすると花鳥風月がしみるらしいことはわかっても実感がないままここまできた。
アミとつきあうのも。結婚するなれそめも、みんなに言うべきことがなにもない。みんなの話を聞いていることは嫌じゃないから、ほとんど芝居でも見ているような心地できいている。
人を想って眠れない。
そんな恋ばかりしたら死んじゃうんじゃないかと思う。人が人を好きになる気持ちがわからないまま、ここまで来てしまった。ここがどこなのかわからないまま、流されて、テーブルクロスの敷かれたビルの上にいる。みながしているらしい恋を私はしたことがない。したい、とも思っていなかった。
恋もセックスも、どっちだっていい。しなければいけないのなら、林檎農家の交配のように、花粉を綿球につけて、それをぽんぽんと雌蕊に塗布して、交配が成功すればいいのに。
人を好きになる、という、理屈じゃないなどといわれる行為に落ちることがどうしてできないのか、わからない。しないといけないようなことなのかもわからない。
むざんやなあ。

「ずっと一人でブツブツ言いながら書いていたので他の人の声で聞くのは初めてなので、・・・嬉しいもんですね。」朝吹さんはちょっとはにかみました。
「・・・幸せです。」とても可愛らしい方です。
「凄い聞かれてる感じがして緊張した。」(吾郎)
「うみは恋愛感情が持てない女性ですが、なんでそういう設定に?」(外山さん)
「近代以降恋愛をすることが自由になって、恋愛結婚というのが可能になって、恋愛をすることがとても素晴らしいことだってなってきて。それはもちろんそうだけど、でも人間って恋愛をしない自由もあるんじゃないか、ということを昔から思っていて。自分がなかなか人のことを好きにならなかったからでもあるんですけど、例えば学生時代って好きな人がいないことはありえないことだと何となくなってますよね。そうなると架空でも好きっぽい人を作らないといけないとか。多分私以外にも恋愛に積極的じゃない人はいたかも知れないけど、あえて恋愛の話をすることで仲良くなるとか、そういう事に対する違和感があって、それが長い時間掛けてこの小説に流れ込んできた感じです。」(朝吹さん)
「ああ・・・女性は特にね。学生の時とか若い時にはどうしてもありますよね。」(吾郎)
「それってやっぱり、恋愛をすることは善であるとか美であるとか・・・。それはそれでそういう風にしたい人はすればいいんですけど、でもそうじゃない性も人間にはあるんだ、という違和感がここに出てきてるんじゃないかなと思います。」(朝吹さん)
「なるほどね。なんか腑に落ちる。」(吾郎)

「TIMELESS」では過去の思い出やその土地の記憶が蘇り、現実と幻想が入り交じる独特の世界が描かれています。
特に印象的なのはうみとアミが六本木を散歩する場面。六本木は江戸時代、徳川家二代将軍秀忠の正室江姫が火葬された場所で、その時大量の香木が焚かれたそうです。そしてその史実こそ朝吹さんが小説を書く上での大きなターニングポイントになったのです。

「火葬が執り行われた一六二六年十月十八日、その日は北西の風が吹いていた。
ミッドタウンの前で、江の遺体が葦と炭火によって燻されながら燃えていった。五十八メートルにおよぶ沈香木の束がともに焚かれて野原に薫りが満ちる。首都高速三号線の上空、六本木ヒルズ、つるとんたん、ドン・キホーテ六本木店、そして麻布台一丁目のガゼンポ谷へと腐敗臭とともに香烟が空高く帯のようにつづいた。沈香木が、やわらかい薫りを吐きだし、燃えて、烟のなかへと土地を引き摺りこんでゆく。
永井荷風がいとしいひとをたずねたという坂を、くだっているのかのぼっているのかわからないまま、歩いている。私たちはいとしい間柄ではないまま、歩いている。
(中略)
もうずいぶん歩いている。それでも足は疲れていない。Gianvito Rossiのハイヒールだからかもしれない。私たちはずっと歩いていると思っているだけなのかもしれない。
月は雲の影に消えたままいっこうあらわれない。
わたしたちはますますくらいものになって歩いている。

朝吹さんは両手で頬杖をつき、じっと眼を閉じて外山さんの朗読を聞いていました。
「ここも好きですね。ここも不思議なシーンですね。」(吾郎)
実は、この場面のインスピレーションを朝吹さんに与えた「この小説の産婆さん」のような方がいらっしゃるのだそうです。それは歴史学者の磯田道史さん。磯田さんも2016年5月にゴロデラに出演なさっていますね。
「磯田さんと親しくさせて頂いてるんですけど、元々は綿矢りささんの紹介で・・・。2015年の夏に磯田さんと対談をして、その帰りに一緒にタクシーに乗って六本木通りを進んでたんです。その時、私がお香が好きでお香の話を磯田さんとしていたら『そういえば朝吹さん、この近くって江姫が火葬された場所だって知ってますか?』と唐突に言われたんですよね。ミッドタウンの向かいで江姫の遺体が大量の沈香木と一緒に焚かれたと。その話を聞いた瞬間に、目の前のタクシーの景色が400年前と重なって見えて『これは自分がずっと探してた小説の光景だ』と思って、『ここから物語が始まるんだ!』と思って、合理的ではないんだけど確信を持って磯田さんに『これは小説の場面になるんです!』と急いで色々話したら、磯田さんも動揺せずに『そうですか。じゃあ古地図を用意しましょう』と用意してくださって。違う日に一緒に夜(六本木を)探検したんです。」(朝吹さん)
「へぇー、一緒に歩いたんですか?磯田さんっていい方ですね。」(外山さん)
「本当に優しいんです。」(朝吹さん)
「だって(磯田さんが)いなかったら(小説は)生まれなかったんだもんね。」(吾郎)
「本当に大事な産婆さん」と朝吹さんは磯田さんに感謝していました。

幻想的な小説を生み出す朝吹さんの執筆スタイルも独特で、その秘密は小説を書き出す前の作業にあります。
「イメージが浮かんで、そのイメージを追いかけてる時に、ブルーシートとか段ボールとかに手当たり次第物を貼っていくんです。例えば雑誌の切り抜きだったり、好きな詩のコピーだったり、とにかく何でも手を動かしながら貼る作業をずっとしていて、貼っていく手がある時に書く手に移動するって感じなんです。そうすると物語が少しずつ動いていくんです。」(朝吹さん)
「なんでブルーシートなんですか?」(外山さん)
「ブルーシートが私にとって世界で一番美しい色だと思うから。」(朝吹さん)
「へぇ。あのブルーが。」(吾郎)
「ええ、ホントにきれいだと思います。」(朝吹さん)
ブルーシートは景観を乱さないためにブルーにしてるのに、最も自然のブルーとは真逆の安い人工塗料を使っている、それがいい、と朝吹さん。
「お花見の時に敷いてあるのも好きだし、あと、坂道とかにかけられたまま忘れ去られてちょっと緑がかっちゃってるような・・・もう人為では絶対に作れない色味と苔とシワの寄った感じと、繊維がちょっとほどけつつある感じと・・・ホント美しいと思います。」と熱を込めてブルーシート愛を語りました。
「刑事ドラマでもよくありますよ。」(吾郎)
「それも面白いですよね。花見のようなハレの場でも使われるし、事件の場でも使われる。」(朝吹さん)
朝吹さんの独特の感性が垣間見えるお話でした。

更に執筆に集中しすぎると私生活に支障が・・・。ご主人を困らせたこともあるそうです。
「締切前だと家事も何もできない。まあ、普段からできないから二人でやり合ってるんですけど、締切前だと特にそういう事に気がつかないんですよね。で、ご飯を作ってくれるというので、ありがとう、本当に締切がまずいから、と言って(執筆を)やってて、そのうち『ご飯だよ』といって目の前に出てきて『ありがとう』と食べたらすごく美味しくて、『すごいおいしい、このカレー』と言ったんですよ。そしたら『え、カレー?』って。『ハンバーグだ』と言われたんです。でハッと見ると本当にハンバーグで・・・なんで自分がその時にカレーだと思ったのか、カレーと言ったのか分からなくて、すごい気まずくなっちゃって・・・。」(朝吹さん)
「結局はカレーだったんですね?」(吾郎)
「結局はハンバーグ・・・あ、ご主人がいらしてますね!」外山さんがセットの外を見て声をかけました。ご主人の渡邉さんが観覧にいらしていたのです。
「どうでした?間違えられた時は。」外山さんが訊きました。
「ちょっとべちゃっとカレーみたいにゆるかったとか?」(吾郎)(←それもちょっと失礼な訊き方かも・・・)
「確かにトマトソース多めではあったです。」と渡邉さん。「でもハンバーグですよ。それを食べて『このカレー美味しい』って言うのはさすがに冗談だろうと思って、笑い出すのを待ってたら笑わないから、じゃあ勘違いかな?・・・しょうがなく残念な気持ちで自己申告・・・」
「優しい!」と吾郎。本当に優しい方ですね。
「ハンバーグ煮込みでご飯と同じプレートで一緒に食べてたとか?」吾郎はなぜか全力でフォローしようとしています。
「そうかもしれない。」渡邉さんがそれに乗りました。
「まったく結婚に興味なかったけど、こういうご夫婦を見るとすごく素敵だと思いますよね。」外山さんから意外な発言が出ました。
「そうだね。ちょっと自由で・・・。旦那さんもデザインのお仕事なさってて。」(吾郎)
「個人個人で寄り添ったり離れたりしてます。」(朝吹さん)
スタジオにほのぼのした空気が流れました。

AD山田くんの消しゴムはんこはスケッチブックにブルーシートを貼り、そこに朝吹さんや磯田さんや吾郎の顔をテープでペタペタ貼った力作。「うれしい!」と朝吹さんは声を上げました。それを見て「一番の今日のリアクション」と吾郎。朝吹さんは更に作品に近づいてブルーシートに触り、「この織りが均一でない感じが・・・」とうっとり。
「ブルーシートの魅力はよく分かりました。」と吾郎。
朝吹さんは小説と同じく、不思議な空気をまとった方でした。

今回は山下澄人さん、磯田道史さん、綿矢りささんと、ゴロデラに出演してくださった方々のお名前が次々と出てきてとても嬉しかったです。ゴロデラの7年間の蓄積が一本の糸のように繋がっているのを感じました。


拍手ありがとうございます




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はちミツ

Author:はちミツ
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稲垣吾郎さん大好き、SMAP大好き!の主婦。
吾郎ファン歴は25年目になります。
彼らがいつかまた集まりたいと思った時そうできるように、彼らがそれぞれ今いる場所で益々輝いていってほしいと願っています。
だから「SMAP大好き」という気持ちも「新しい地図の3人の活動を応援する」気持ちも私の中では同じ一つの思いなのです。
神奈川県在住。

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①毎週水曜日は「an・an」の「稲垣吾郎のシネマ・ナビ」をチェック!。
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