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特攻兵の愛ある抵抗 (「ゴロウ・デラックス」 6/8)

今回でゴロデラは放送300回を迎えました。おめでとうございます
この良い番組がこれからも長く続きますように。

300回めの放送は、人間の尊厳について考えさせられる衝撃的な内容でした。

オープニング。
「今日は大変人気のある劇作家の方。ある戦争の話に今回夢中になって本を出したところ、16万部を超える大ヒットとなったんです。」(外山さん)
「僕もこの本を読んで、こんな事が本当にあったなんて信じられなかったですね。」(吾郎)
吾郎も外山さんもびっくりしたという課題図書とは…?

課題図書 : 「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に抵抗したか」 鴻上尚史 (講談社現代新書)

第2次世界大戦末期の1944年に組織された特攻隊は、「十死零生」と言われる自爆攻撃が任務でした。その戦死者は約4000人と言われています。
しかしそんな特攻隊の中で、9回出撃し9回生還した奇跡のパイロットがいたのです。
その生き方は私たちに一つの問いを投げかけます。

「あなたは組織に理不尽な命令を出されたらどうしますか?」

奇跡の特攻隊員の生涯を亡くなる直前(2年前)に行われたインタビューを交えて描いた本です。
この本の著者、鴻上尚史さんは劇団「第三舞台」などを主宰し数々の演劇賞を受賞してきた人気劇作家です。その鴻上さんがなぜ特攻隊の本を書いたのでしょうか?
「僕らの世代は子どもの頃から戦争物(のドラマや映画)が結構あったし、その中でも特攻というのは作家としてどういう気持で行かれたんだろうなと興味はあったんです。」(鴻上さん)
「で、その後会うことになったんですよね。」(吾郎)
「そうですね。そういう人がいたって事は本で知って、まさか御存命だとは思わなかったので。2009年に別の本を読んで、ほんの半ページの短い記述だったんですけど頭の片隅にあって。毎年4月くらいになるとテレビの人から『終戦特集なんかないですか?』と言われて、僕もTBSを含め色々なテレビ局の人に『こんな人がいたらしい』っていう話をしたけど、『ああそうですか』で終わってた。そしたら某テレビ局のプロデューサーが『面白いですね』と言って調べてくれて『その佐々木さんっていう人、生きてますよ』と。それで『うわぁー!』ってなって。」
それが2015年5月のこと。札幌の病院にいらっしゃると聞いて「会うしかない」と鴻上さんは思いました。
「実際にお話伺いたいですよね、絶対に。」(外山さん)
その方は佐々木友次さん。陸軍航空隊初の特攻隊「万朶(まんだ)隊」の元隊員で唯一の生存者です。北海道出身で空を飛ぶことが大好き。航空隊に入団した佐々木さんは優れた航空技術を持ったパイロットとして一目置かれるようになりました。
ある日佐々木さんの所属する特攻隊の前に恐ろしい戦闘機が現れました。その部分を吾郎が朗読。

1944年(昭和19年)8月2日、立川飛行場に寄った岩本大尉は、竹下福寿少佐に内密に格納庫に案内されて、そこで異様なものを見た。
それは、3本の細長い槍が機体の先頭から突き出た九九双軽だった。風防ガラスで丸く囲まれた機首部の先端から、長さ3メートルほどの見たこともない金属の細長い管が3本、突き出ていたのだ。
よく見れば、細い槍の先には、小さなボタンのような起爆管がついていた。その根元から太い電線が延びて、機首の風防ガラスを越え、爆弾倉の方に続いている。
岩本大尉は驚いた顔で竹下少佐を見つめた。
明らかに体当たり用の飛行機だ。
細い管の先に付いている起爆管のスイッチが体当たりすることで押されて爆発する仕掛けだ。
竹下少佐は黙ってうなづいた。
「爆弾投下器はどうなっていますか?」
混乱しながら岩本大尉は聞いた。
「はずしてしまった。いらない機械はみんなおろした。」
苦々しい答えが返ってきた。
それはつまり、操縦席からは爆弾を落とせないことを意味した。
爆弾を破裂させるには、体当たりしかないということだ。
岩本大尉の顔は怒りで険しくなった。
「ろくな飛行機も作らんでおいて」

「見た瞬間おかしい、って。なんだこの槍は?って。」(吾郎)
この「九九双軽」はどんな飛行機だったのでしょうか。番組が作った二つの飛行機の模型を外山さんが持ってくると吾郎は
「僕プラモデル好きなのでよく分かります。一式陸攻の話とかしなくていいですか?」と身を乗り出しかけましたが、
「大丈夫です、長くなりそうなので」と外山さんにあっさり却下されました(笑)。(今回はそういう話題ではないですし。)
鴻上さんの説明によると、九九双軽とは「九九式の双発(二つのプロペラ)の軽爆撃機」で4~5人乗り。機銃が前の風防ガラスのところと機体後部に付いています。
「それを前の銃座を完全に取り外して、その代わりにこの槍のような真管のついた起爆管を3本つけて。そして800キロ爆弾というのが爆弾倉に入りきらなかったんです。」
鴻上さんは改造後の九九双軽の模型を裏返して見せました。翼の下の爆弾倉から爆弾がはみ出ています。
「そんなにでっかいんですか?!800キロって。」(吾郎)
「通常は550キロなんですよ。それを800入れたので、爆弾倉が閉じないんです。閉じれないまま飛んでいく、という形にした。」(鴻上さん)
つまり、改造された九九双軽は体当たりに特化した「死の戦闘機」だったのです。しかし、
「体当たりの勢いより、爆弾をそのまま落とした方が攻撃力はでかいんです。なぜかというと、飛行機は空気抵抗があるから飛べる。だから体当たりでどんなに速く突っ込もうとしても、(空気抵抗を受けるので)爆弾をそのまま落とす速度の半分くらいになってしまう。実は爆弾をそのまま落として当てた方が攻撃力は高い。で、戦艦は実に鉄板が分厚いんですけど、飛行機は身軽に飛ぶために軽い金属で作られているので、当時(体当たり攻撃に)反対する人たちは『コンクリートに生卵をぶつけるようなものだ』と言っていたんです。よくそんな無茶な命令を出したなと思いますね。」(鴻上さん)
「無茶苦茶ですね。」吾郎も呆れています。
「だから元々は生きて帰れない飛行機だったんですが、佐々木さんが所属する万朶隊はこっそり改造した…」(外山さん)
「こっそりというか…岩本隊長というベテランのパイロットが怒ったんです。我々が何のために訓練してきたと思ってるんだ、と。それで上層部には言わないで現場の整備兵たちに『爆弾を落とせるようにしてくれないか?』と言ったら、現場も『当たり前ですよね。1回で帰ってこれない攻撃方法を採用する上層部がおかしい。』と言って改造してくれたんです。」(鴻上さん)
こうして岩本隊長の判断で改造(再改造?)された九九双軽に乗り出撃した佐々木さんは、同僚の特攻兵が次々死んでいく中、上官の命令に背き帰還する道を選びました。ここからAD山田くんも加わって、鴻上さんが佐々木さんにインタビューした音声を聞きました。(以下敬称略)

鴻上「何回か猿渡参謀長と喋ってて、どこか途中で『くそ!何があっても生き延びるぞ!』って思いました?それとも一回目の出撃から『俺は絶対に生き延びてやる!』と思ってました?」
佐々木「一回目の出撃から戻ってきた時はチャンスだと思ったですね。」
鴻上「チャンス?」
佐々木「これは帰れるかも知れないと思った。やっぱり無駄死にはしたくなかった。父親は日露戦争で金鵄勲章をもらってきた。父は…『死ぬと思うな』と何回も言っていた。」

「お父さんの言葉がいつも心にあったんですね。」(吾郎)
そして佐々木さんが上官の命令に反抗したのにはもう一つの理由がありました。
「最初特攻は必ず成功させるために、ベテランのパイロットが選ばれたんです。佐々木さんも、21歳でしたけど、実に九九双軽の操縦が上手かった。上手い人たちというのは毎日死に物狂いの訓練をしている。そのプライドがある人たちに、ある日陸軍も海軍も『お前たちはもう急降下爆撃しなくていい、突っ込め』と命令したんですね。戦争に出て死ぬのは当たり前、戦うなかで撃ち落とされるなら認めるけれど、『死ね』っていう命令を出すのはどうなんだ、とみんな怒ったんです。」(鴻上さん)
「プライドだよね。」(吾郎)「ほんとそうなんです。」(鴻上さん)
「死ぬと思うな」という父の言葉、機体を改造してくれた岩本大尉の想い、一流パイロットとしてのプライド、それらが佐々木さんを命令拒否へと突き動かしました。しかしそんな佐々木さんは上官はじめ周囲から大変な圧力を受けることになります。
1回目の出撃では敵輸送船に爆弾を投下し命中させ帰還。しかし帰ると戦死扱いになっていて、しかも軍神とされてしまったのです。
「戦死扱いになったと言うことは、実は誰も最後まで見ていない、確認してないということ。戦死に違いないということで(上に)報告した。しかも輸送船ではなく軍艦、つまり一番でかいのを沈めたと発表しちゃったので、神様になった。」(鴻上さん)
さらに、これは陸軍の1回目の特攻だったそうで、
「海軍は護衛空母というそれなりの空母を沈めているので、(陸軍としては)ちゃんとやってくれないと困るんですよ。」(鴻上さん)
陸軍と海軍との功績争いも絡み、佐々木さんは大和や武蔵クラスの軍艦を沈めたことにされ軍神に祭り上げられてしまったわけです。
「すごいスタートを切らされちゃいましたね。」(吾郎)
そして上官からは「次こそ本当に体当たりして死んで欲しい」と言われたのです。
「軍神として発表してしまいましたから、次は死んでもらわないと困る、ということです。」(鴻上さん)
「見栄張っちゃったか…。」(吾郎)
2回目の出撃では、味方の戦闘機が爆発し危険を察知して帰還したのですが、佐々木さんの地元では葬式が挙げられ神様扱いになっていました。
「かなり盛大な葬式で、小学校では全員が佐々木さんの家まで歩いて行って祈って帰ったりとか。」(鴻上さん)
そして上官は「必ず体当たりをしてこい!必ず帰ってくるな!」(←日本語がちょっとおかしくないですか?)
「もう天皇にも報告していますから。新聞にも発表しているし、生きていられると困るんですね。」(鴻上さん)
その後も上官の命令に背き生還し続けましたが、そんな佐々木さんに上官は恐ろしい圧力をかけました。佐々木さんと上官とのやり取りを吾郎と外山さんで朗読。

何度目の帰還の時か、司令官が軍刀の柄を両手で掴み、ギラつく目で佐々木をにらみつけた。
「きさま、それほど命が惜しいのか、腰抜けめ!」
佐々木伍長は落ち着いた声で答えた。
「おことばを返すようですが、死ぬばかりが能ではなく、より多く敵に損害を与えるのが任務と思います。」
司令官は激怒した。
「馬鹿もん!それはいいわけにすぎん。死んでこいといったら死んでくるんだ!」
「はい、では佐々木伍長、死んで参ります!」
こう叫んで佐々木はその場を辞した。

「死んで参ります、って言うしかないですよね。」(外山さん)
「死んでこいと言ったら死んでくるんだ、って言われたらね…。佐々木伍長の方が上手というか冷静だよね。」(吾郎)
「これはその場を目撃した人の証言ですから。リアルですね。」(鴻上さん)
「すごいよこれ。怖いよ。ね、山田くん。」吾郎は隣の山田くんに話を振りました。
「ダメだね、もう怖いね~」と山田くんも怯えています。
6回目の出撃で佐々木さんは大型船に爆弾を命中させて生還しましたが、2度目の戦死扱いをされ、地元では2度目の葬式が行われました。(←よく考えるとこれはおかしな話ですよね。1度目の出撃で戦死したことになっているのに、なぜまた戦死したと新聞発表してしまったのか…。地元の人たちも変だと思わなかったのでしょうか。でも戦争になれば変だと思う感覚も麻痺するのかも。)
「でも、これで命中させた、すごい!じゃダメなんですか?」と外山さんが訊きました。
「うーん、特攻ですからね。」鴻上さんは厳しい顔をしました。
「いやぁ…命中させたけど帰りづらいなと思いながら帰るんでしょうね、きっと。」(外山さん)
「さすがにこの時はこのまますぐに帰るのは嫌だから別の所に寄ってるんです。」(鴻上さん)
そして問題の上官からは一言、「明日死んでこい!!」。鴻上さんは笑ってしまいました。
「笑っちゃいけないけど…。これでも佐々木さんはめげない。」(吾郎)
7回目の出撃は機体トラブルで、8回目は1機で出撃するも馬鹿馬鹿しくなって引き返し、9回目は機体異常で、と生還し続けた佐々木さんは遂に終戦を迎えました。そして地元に帰ったのですが…
「辛かったと思いますね。地元は2回も盛大な葬式を出してますからね。佐々木さんはあまり多くを語らなかったですけど『辛かったですか?』と訊いたら『辛かったねえ』とおっしゃってました。葬式の時佐々木さんの家まで行った(当時の)小学生の方にお話を聞いたら、戦後佐々木さんを見つけて特攻のお話を聞こうとしたけど話してくれなかった、と。喋るのがすごい嫌だったんでしょうね。」(鴻上さん)
本当はパイロットになりたかった佐々木さんですが、地元に帰ってからは家業の農家を継いだそうです。
それにしても、佐々木さんはなぜ9回も生還できたのでしょうか?
佐々木さんのインタビューの中に答えがありました。

鴻上「飛行機に乗るのが大好きだったというのも大きいですか?」
佐々木「大きいですね。」
鴻上「何が好きだったんですか?飛行機に乗ることの。」
佐々木「私たちはあまり評判の良くない九九双軽に乗って飛んでいたけど、乗ってみたら乗りやすい良い飛行機なんですよね…。それで…このように乗って自爆したくない…という気持がありました。」

「うーん…」吾郎は深く頷きました。
「だから、どうして9回も耐えられたんでしょう?という答えが知りたくて、何回も何回も通ったんですけど、勿論お父さんの言葉もあったし、岩本隊長の言葉もあったんだけど、一番は飛行機が大好きで空を飛ぶことが大好きで、だから一回で終わらせたくないし大好きな飛行機を壊したくないという思いだった気がしますね。」(鴻上さん)
佐々木さんの飛行機への純粋な思いは、理不尽な上官の命令に押しつぶされなかったのです。

番組はエンディングへ。
「ブラック企業だと思うんですよ、軍隊は。特に理不尽な命令を出してね。戦艦を沈めることじゃなくて死ぬことが目的というのは本当にブラックだと思うんだけど、そういうブラックな組織に対してこれだけ戦った人がいたと思うだけでも勇気が湧くじゃないですか。」(鴻上さん)
「湧きます。」(吾郎)
「その一番の原動力が“空を飛ぶのが好きだった”という単純な思いで。それがブラックな組織と戦う武器になり得た、という。」(鴻上さん)
「そうですね…」吾郎は最後にやっと微笑みました。

山田くんの消しゴムハンコは笑顔の鴻上さんと佐々木さん。披露する山田くんの表情はいつもより神妙でした。


戦争が終わって74年経ちますが、自爆攻撃を強いた軍隊は過労死するまで残業させるブラック企業となって今の日本に残っているのかも知れない、と考えたら怖くなりました。日本人は根っこの部分では変わっていないのではないか、とさえ思いました。


拍手ありがとうございます
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はちミツ

Author:はちミツ
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稲垣吾郎さん大好き、SMAP大好き!の主婦。
吾郎ファン歴は26年目になります。
彼らがいつかまた集まりたいと思った時そうできるように、彼らがそれぞれ今いる場所で益々輝いていってほしいと願っています。
だから「SMAP大好き」という気持ちも「新しい地図の3人の活動を応援する」気持ちも私の中では同じ一つの思いなのです。
神奈川県在住。

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②「稲垣吾郎オフィシャルブログ」、twitterアカウント @ingkgrofficial も必見!
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