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Walking with GORO

稲垣吾郎さんとSMAPと新しい地図と。すべてが好きな主婦の日記 【無断転載禁止】

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2017-10-10 (Tue)  00:08

岩手の自然に包まれて (「ゴロウ・デラックス 10/6)

オープニング。
「今夜は第157回芥川賞受賞の方がゲストです。」(外山さん)
「デビュー作で芥川賞ですよ!」(吾郎)
ゲストは沼田真祐さん。登場するとまず「おめでとうございます」と吾郎から花束贈呈。ほっそりして大人しい感じの方です。
芥川賞直木賞受賞の作家さんが出演するのがすっかり恒例になりました。改めて豪華な番組です、ゴロウ・デラックス。

沼田さんは7月の受賞会見で「1本しかジーンズを持っていないのにベスト・ジーニスト賞みたいな」とデビュー作で芥川賞を受賞した気持ちを語りました。そして今回が初めてのTV出演です。
「受賞の知らせはどこで聞かれたんですか?」(吾郎)
「文藝春秋の近くのカフェで。」と沼田さん。物静かな話し方です。
「編集者の方がまず電話を取って?」(外山さん)
「僕の方に最初かかってきたらしいんですけど僕が気が付かなくて、編集者の方に電話が来て、二人でいたので、僕にもすぐ伝わったみたいな。」(沼田さん)
「ちょっと待ってください、気付かないっていうのはどういう事ですか?」外山さんが笑ながら突っ込みました。
「いや、僕には直接来ないって…これは僕の聞き違いかも知れないんですけど…携帯をバッグに入れていて気が付かなくて。」沼田さんはちょっと焦っています。
「会見の時もラフな感じで。」と吾郎。ゴロデラでは会見でのファッションの話題も欠かせません。
「はい、部屋着という感じで。シャワー浴びて汗が引いた後に羽織るような浴衣みたいなシャツだったんですね。」(沼田さん)
「それほど、絶対に取らないだろうと思っていたんですね?」(外山さん)
「そうですね。」(沼田さん)

課題図書 : 「影裏」 沼田真祐 (第157回芥川賞受賞作)

首都圏から岩手県へ転勤した会社員の今野が主人公。同僚で釣り好きの日浅と友情をはぐくむが日浅の転職をきっかけに疎遠になってしまう。そんな時東日本大震災が起こり、営業の仕事で釜石にいた日浅が被災したかもしれないと知る―――。

「影裏」を読み解くキーワードは3つあるそうです。
1. 巧みな描写力
これが芥川賞受賞の決め手になったそうで、選考委員の高樹のぶ子さんは「自然描写が非常に優れている。特に魚とか川とか、岩手の自然を描く筆力を私は買いました。」と評しました。
その岩手の自然を描写したシーンを外山さんが朗読。自然の様子を緻密に格調高く描いた文章です。

岩手という所はじつに樹木が豊富な土地だと夏が来て改めて思う。
とにかく山地が多く川が多い。それだけ森林の密度も濃厚だから、いたるところに生き物の気配がひしめいている。
川辺や谷間の林道を釣り歩いていて、釣りそのものに、倦きがくることはたしかにあった。
だが少し視線をめぐらせると、対岸の沢胡桃の喬木の梢にコバルトブルーの小鳥がいたり、林の下草からは山楝蛇(やまかがし)が、本当に奸知が詰まっていそうに小さいすべっこい頭をもたげて水際を低徊に這い出す姿を目の当たりにした。
一種の雰囲気を感じて振り向いたら、川づたいの往還に、立ち枯れたように直立している電信柱のいただきに、黒々と蹲る猛禽の視線とわたしの視線がかち合ったりした。


岩手の自然の豊かさに吾郎は心を動かされたようです。
「なぜ岩手を舞台に書こうと思ったんですか?」(外山さん)
「自分が住んでいる所を書くのが一番説得力があると思って。」(沼田さん)
「本当に山とか川とか行かれたんですか?」(吾郎)
「はい、近所で。車で5分くらいですかね。」(沼田さん)
ここでVTRを紹介。小説の舞台になった生出川(おいでがわ)を沼田さんの車で案内して頂きました。道中、なぜ生出川を舞台に選んだかを訊ねると
「あまり山奥の渓流の様なキレイ過ぎる所は選びたくなくて、ロマンチック過ぎてちょっと格好悪いと思って、里川って言うんですか、普通の所に流れる川を扱った。」そうです。でも車窓の外を流れる景色は緑豊かで、それだけできれいだと思いました。
そして着いた生出川はこじんまりした小川で両岸は一面草で覆われていました。
「ここへは結構釣りしなくても来ますね。ボーっとしに来たりとか。」と沼田さん。そのVTRを見ながら吾郎は「まさにこんな感じだよね。」と言っています。

勢いよく夏草の茂る川沿いの小道。
一歩踏み出すごとにとがった葉先がはね返してくる。

しばらく行くとその道が開けた。
行く手の藪の暗がりに、水楢の灰色がかった樹肌が見える。

(「影裏」より)


VTRでは沼田さんが釣りをする場所なども紹介。小説の中では生出川の上流の方の風景などもいろいろ混ぜて書いた、と沼田さん。スタジオにいる時より活き活きして見えます。
「ああいう感じだよね。」(吾郎)「読んでてね。」(外山さん)「それが描写ってものなんだね。」と吾郎は感心しました。

2. マイノリティ
芥川賞選考委員の吉田修一さんは「セクシャル・マイノリティを恋愛や性愛を通さず書いている。」と絶賛しました。
主人公今野の元恋人で性同一性障害を抱える副嶋和哉がSRS(性別適合手術)を受け女性として登場する、吉田さんが絶賛した場面を吾郎と外山さんで朗読。吾郎が今野、外山さんが副嶋役です。

モニターの時刻表示を確認すると、22時57分。まだそうみじめさばかり誇張されてつたわる時刻でもない。
充電コードはぶらさげたまま〈電話帳〉から副嶋和哉の名前を探した。
「びっくりした、なんか突然って感じで。」
記憶の中の面影と合わない、穏やかな女性の声だった。
「まあ何でもだいたい突然なんだけどね。」
別れる直前の夏だったか、SRS(性別適合手術)を施術するつもりだと和哉が公言していたことを、わたしは思い出した。
「変になつかしくなってさ、別に用事なんてないんだ。だから無意味な電話なんだよ。」
「用事がなくちゃ連絡しちゃいけないわけ?私が朝したメールだって、無意味だもん。」
「いってみればあれの反応なんだよな。そっちのメールがきっかけになって、こんな時間まで消え残ってて、しまいには電話してるっていうさ」
「そうじゃないかなと思ってわたしもとった。」


「ここドキッとしますよね。こういう人物を登場させた…セクシャル・マイノリティを描いたのはなぜ?」(吾郎)
「今まで生きている間に何人か、そういう人と友達になったり会う事はあったんです。結構大変だろうなという印象がありまして、彼ら彼女らが(自分の中に)残っていて、助けたいとかじゃなくてふっと出たんですね。」(沼田さん)
「小説の中ではマイノリティをテーマにしてされてるんですか?」(吾郎)
「いろんな状況で人はマイノリティになると思うんですね。そういうものをすくう…助けるじゃなくて掬い取るのが文学の役割だと思います。」(沼田さん)
「何というのか、芥川賞作品にはマイノリティの問題とかが必ず根底にありますよね。」(吾郎)
「結構偶然なんでしょうね。」(沼田さん)「えーほんとですか?」(吾郎)
「小説の大枠は決めるんですけど、そこから自然とそれていく、小説を書いている間に。『小さくまとまるなよ』という呼びかけがあって、そっちの方に行ってみるんです、失敗を覚悟で。」(沼田さん)
「コントロールが出来なくなった時が一番いいパフォーマンスが出来ますよね。」と吾郎は共感しましたが、これはSMAPのコンサートや自分の舞台で経験したことなんでしょうか。

3. 東日本大震災
選考委員の高樹のぶ子さんは「決して震災を全面に押し出した小説ではない。密やかに一歩引いているんですが、人間関係を描くことでそれを取り囲む大きな自然の怖さに言及していると思いました。」と評しました。「影裏」は芥川賞作品としては初めて東日本大震災を扱った小説でもあるのです。
その震災のシーンを吾郎が朗読。

あの日早朝から家を出て、午前中は契約を求めて釜石市内の住宅地を回り、けれど振るわず、あるいは首尾よく契約をもらって安堵した日浅が、さてここからは自由時間だと海岸沿いに車を走らせる。
14時46分。
ソイやアイナメ、マコガレイなどではち切れそうなクーラーボックスに腰を下ろして日浅は海を見ている。
ふと凄まじい揺れを、足もとから全身に感じて立ち上がり、思わずいったん、顔を空に向ける。
テトラポッドを軽くひと舐めするように、黒々と濡らして消える波の弱音を聞く。
この数十センチの小波はしかし、あの大津波の第一波なのだ。


「これを書かれた理由というのは?」(吾郎)
「『影裏』は2010~2011年の話なんですけど、あの時代の人や社会を書けばおのずと震災のにおいがしてくる。だからあくまでその時代の人を描いただけで、あの時代の人を書いたら震災のにおいがしたんです。」(沼田さん)
「あくまで時代が先なんですね。」(吾郎)
震災のにおいが立ち上ってきたと言いますが、沼田さんがそれを意識したのは途中からだったそうです。
「『影裏』というタイトルに込められた意味は何かあるんですか?」(外山さん)
「いや、全く意味はなくて、作中に”影裏”って言葉を自分で毛筆で書いてそれを部屋に飾ってるような70代の人が出るんです。その書かれる言葉は何でもよかったんですけど。」(沼田さん)
「その人が書いてた字が”影裏”っていうイメージだったんですか?」(外山さん)
「ええ、どんな言葉でもよかったんですけど、”影裏”は見た目もカッコイイですし…。」(沼田さん)
「ストーリーも”影裏”って感じですよね。でもそういう意味ではなかったんですね。面白い。」(吾郎)

沼田さんは岩手県で初の芥川賞作家になりました。それもあって岩手県内の本屋さんではPOPを作って祝福ムードだそうです。そこで番組は地元で開かれた沼田さんのサイン会にお邪魔しました。
会場の岩手日報本社には抽選で当選した100人のファンのほか、地元テレビ局からの取材陣も。初めてのサイン会にも緊張する事なく、沼田さんは一人一人に丁寧に話しかけながらサインをしていました。中に中学生の女の子がいましたが、実は沼田さんの生徒さん。沼田さんは塾で中学生に英語を教えているのです。その生徒さんは自分の先生が本を書いている事は全然知らず、芥川賞候補になった事を友達から聞いて知ったそうです。ちなみに感想は「先生を想像し過ぎて真面目に本を読めなかった(笑)。」とちょっと恥ずかしそうでした。
「嬉しいんですね、岩手の方は。」とVTRを見て吾郎が言いました。
「ほんとですよ、岩手県民として誇りに思うって。」と外山さんも同意しましたが、吾郎は沼田さんを見ながら
「そっとしておいてほしいタイプの方なんですね。」と言ったので沼田さんも思わず笑いながら頷きました。
「書きたい人なんだ。もういやなの、テレビとか。」と吾郎が続けると沼田さんはうつむいて「いえいえ」と首を振りました。
「しょうがないですよ、だって芥川賞取っちゃったんだもん。」と吾郎に言われて沼田さんは笑うしかありません。でも随分リラックスした表情になりました。
「今度会った時に羽田圭介さんみたいになってたらビックリしますよ。すげー喋るようになってたら。」吾郎のユーモアで沼田さんの緊張がだいぶほぐれたようでした。

「影裏」は新人純文学作家の登竜門である文學界新人賞も受賞しており、沼田さんは芥川賞とのW受賞という快挙を成し遂げました。そこで恒例のあの質問です。
「ちゃんと賞金は貯金してますか?」(吾郎)「文學界新人賞の賞金ですか?」(沼田さん)
「50万円」(吾郎)
「車検、自動車税、あと国民年金の滞納で全てなくなりました。」(沼田さん)
「(芥川賞賞金の)100万円は貯金しましょう。」(吾郎)
「そうですね、まだちょっと国民年金が…。」と沼田さんはちょっと困った顔をしました。
吾郎のこういう堅実なところも面白いですね。

AD山田くんの消しゴムはんこは「ヤマメを釣った沼田さん」。ヤマメもちゃんとそれらしく出来たようで沼田さんは満足したようでした。


拍手ありがとうございます



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最終更新日 : 2017-10-10

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