闇を見る作家・闇を見せる女優 (「ゴロウ・デラックス」 8/19)

オープニング。
「今日は、人間の心の闇を描く芥川賞作家の方がゲストです。」(外山さん)
「僕も最近闇を抱えた人間を演じることが多いです。」(吾郎)
「演じる事がね。」(外山)
吾郎が「お会いしたかったので楽しみにしておりました」というその方は…?

中村文則さん、38歳。「暴力に上から押されるようにしてその下で生きる人たちの祈りや強さ」を書く作家です。 
2005年「土の中の子供」で芥川賞を受賞。他にもカルト教団の暴走を描いた「教団X」、洗脳と復讐を描いた最新作「私の消滅」等、
描くテーマは「人間の中に潜む悪」です。そして又吉直樹さんや綾野剛さん等からも熱い支持を受けている若き文豪なのです。
セットに入ってきた中村さんは戸惑いながら周りを見回しました。
「僕は明るい人間ではないので、こういう明るい所に来ると隠れたくなる。」と言う中村さんに吾郎は
「隠れないでください。」と声をかけました。(確かに明るい感じの方ではないですが…。)
「初対面ですか?」と外山さんが訊くと中村さんは
「いや、一度だけ西加奈子さんのお宅のお花見で(「出たー!」と外山さん)。ネコがいたんですけど警戒心が強いネコで人に懐かなくて。なのに稲垣さんが呼んだら少し寄ったんですよ。ああやっぱり、と思って。」
「普通に『おいで~♪』と呼んだだけですよ」と吾郎が少し得意がると
「いや結構粘ってましたよ。」と中村さんが暴露しました。美味しいエピソードをありがとうございます。
ここで中村さんの経歴を紹介。「子供の頃は本は好きでなかった」そうですが、高校一年の時のある出来事が中村さんを変えました。
「学校で皆が一緒の事をやっているのがすごく気持ち悪くて、学校に行けなくなってしまったんです。人間としてダメじゃないかと思った時、「人間失格」って本がある事を知って読んだら、『これは自分だ』と。」
中村さんは25歳の時(2002年)「銃」でデビューし新潮新人賞を受賞します。主人公が偶然拾った銃を持ち歩くうちに人への殺意が芽生えていく物語です。その頃の中村さんはお金も全然なくすごく追い込まれていたそうです。
「自転車で後ろからベルを鳴らされるなんて普通の事ですよね。なのにそれが「お前は要らないからこの世界から消えろ」というふうに聞こえてしまって…。その時のエネルギーが全部入ってる。」(中村さん)
「しかも(舞台が)高島平なんですよね」(吾郎)「僕は西高島平に住んでました」(中村さん)「分かります分かります。」(吾郎)
地元が同じなので吾郎は中村さんに親しみを覚えたようです。
中村さんは「銃」の前に小説を応募しましたが一次選考で落ちてしまいました。その時の反省から本をじっくり読むようになったそうです。「本を読む能力が高いと客観的に見られる。書いただけじゃ意味がない。自分の書いた本が本屋に並ぶところをイメージして書く。」といいます。
2004年には「遮光」で野間文芸賞を受賞。男が恋人の指をホルマリン漬けにして持ち歩く話です。
「また持ち歩くんだ。」(吾郎)
「人って悩みを持ち歩いているんじゃないか、と思って。 すごく暗い話なのでタイトルも『遮光』と。」(中村さん)
2014年にはアメリカのデイビッド・グーディス賞(優れた犯罪小説に贈られる賞)を日本人として初受賞し、海外でも高く評価されました。
「書きたい事が自分の中で途切れない。というか自分の中でモヤモヤした感じが途切れない。それが出てくるというか…」という中村さん。今回は特別に「私の消滅」の制作ノートを持ってきて下さいました。
中村さんの執筆はノート選びから始まると聞いて、「ノート選び!」と吾郎はびっくり。「私の消滅」のノートの表紙は青空に伸びる木の枝に白い花が幾つも咲いている写真です。「風に揺れる枝の描写があって…悪が伝播していくイメージなんですけど、それに似合うノートが見つかったんです。でイメージに合うノートにアイディアやセリフを書いていく。」そして
「本当に集中できる時までPCに向かわない。一番集中できると思った瞬間にPCに向かうんです。で、のめりこんで書く。すると無意識に降りて行って今まで思いつかなかった事が書ける。」(中村さん)
「読者はそのゾーンの感覚を味わえるんだね。それが気持ちいいのかも。」と吾郎は感心しました。「本当に不安症で、早く岩の下に隠してあげたい。」と中村さんの事を理解したようです。
「もし中村さんがゴロウさんを小説の中で描くとしたら?」と外山さんが訊くと、中村さんは即座に 

「やばり完全犯罪をする人ですね。例えば知り合いに偽名でお中元を贈る…じゃ、羊羹としましょう。その中の一つだけに毒が入っている。稲垣さんはそれを毎日隠しカメラで見ている。その人が羊羹を一つ食べて死ななかったら今日は死ななかったと思う、でも表情は変わらない。で最後にとうとう毒入りを食べて死ぬ。その時も吾郎さんの表情は特に変わらない、で、いつもよりちょっと良いワインを飲む。それであ、今喜んでいるんだなと分かる。」と答えて下さいました。

その小説、是非書いてください!そして吾郎さん主演で映像化もお願いします!

課題図書 : 「火」 中村文則 (短編集「銃」に収録)

放火して両親を殺害したといわれる中年娼婦が自らの半生を精神科医に一人語りする物語が今回の課題図書です。ト書き(地の文)は一切ない実験的な小説です。
冒頭部分を吾郎が朗読。主人公が精神科医に自分の放火について語り始める部分で、聴いているだけで引き込まれます。
「火って不思議なもので、火をつけた瞬間行為者の手を離れて増殖していく。それが悪というものだと思うんですが。」と中村さんは説明しました。さらに「人が自分の気持ちを全部話したら怖いじゃないですか。小説でそれをやろうとしたんです。精神科医に主人公が全部話す、それで彼女が火のようになって…。それなら情景描写はいらない、全部一人語りで行こうと思ったんです。」
そして映像化不可能と言われたこの作品が今年映画化されました。監督・脚本・主演は桃井かおりさん。「火 Hee」はベルリン映画祭にも出品されました。「桃井さんの演技がえぐい。」(中村さん)「舞台ならこういう演技もありますけどね。」(吾郎)と話していると、
「もう待ちきれなくて。」とここで桃井さんが登場しました。吾郎の顔を見ると「大人になられて。」とにっこり。
桃井さんはプロデューサーから「映画に一番しにくい原作を貰ったからやってみないか。」と声をかけられ「一番困難なものだから一番勇気を奮えるかなと思って」引き受けたそうです。
「最初桃井さんが関わってない時にプロットを見せてもらったら普通だったのが、ある時がらっと変わった。でプロデューサーに「すごく良くなりましたね」とメールしたら「桃井かおりさんもお喜びになります。」と返事が来て。『えー、桃井かおりさんが書いたの?!』と、あんなにびっくりしたことはなかった。」(中村さん)
今回は貴重なメイキング映像が紹介されました。映画はL.A..にある桃井さんのご自宅で10日間で撮影。一室に家具を運び込み、モニターの自分の映像を見ながら桃井さんは演技したそうです。スタッフの食事作りや後片付けも桃井さんがなさったそうで、手造りな感じが画面から伝わってきます。
「ドキュメンタリー感を大事にした。本当の患者として見えないかと思って、俳優として見られなくないと思って。その技術を俳優として身につけていたので、ガッツで。」(桃井さん)
「いいなー!」(吾郎)
「ベルリンで、監督として舞台に出ていくまで俳優だと思わなかった、本当の患者が喋っていると思った、という感想もあった。セリフを覚えてそれを言う、という事をこの映画ではやりたくなかった。自分の無意識が出てきて喋る様な感じで。結果原作と違うものになった…ね。」と桃井さん。
「原作と違うんですか?!」(吾郎)
「違いますね。」(中村さん)
「それでいいんですか?」(吾郎)
「いいんです。」(中村さん)

今回のゴロデラは、小説もですが映画をとても見たくなりました。
映画「火 Hee」は現在渋谷ユーロスペースで公開中。その他でも順次上映されます。


ところで吾郎少し痩せた?


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プロフィール

はちミツ

Author:はちミツ
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稲垣吾郎さん大好き、5スマ大好き!の主婦。
吾郎ファン歴は24年目になります。
神奈川県在住。

近況
①毎週水曜日は「an・an」の「稲垣吾郎のシネマ・ナビ」をチェック!。
②吾郎出演映画「少女」は2016年10月8日公開♪
③吾郎出演ドラマ「不機嫌な果実」のDVD、Blu-RayBOXは2016年10月19日発売♪
④「ゴロウ・デラックス」(TBS)もお見逃しなく!


メールは↓へ。
walkwithgoro☆hotmail.co.jp
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