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ゴロウ・デラックス殺人事件 in 屍人荘 (「ゴロウ・デラックス」 5/4)

オープニング。
「吾郎さん、ミステリはお好きですか?」(外山さん)
「そうですね。僕は金田一耕助を演じていたので。」(吾郎)
「今夜は、デビュー作が大御所のミステリ作家も大絶賛、今もっとも注目されているミステリ作家の方が登場します。」(外山さん)
「それは金田一的にもゲストの魅力を解かないとね。」(吾郎)

ミステリ(mystery)とは犯罪をテーマとして扱う推理小説のことで、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」(1841年)が始まりだと言われています。
今夜のゲスト、今村昌弘さんは今日本ミステリ界で最も注目されている作家で、昨年「屍人荘の殺人」でデビューすると、「このミステリーがすごい!2018年度版」をはじめ、20年以上続くミステリ小説ランキングで3冠を達成。デビュー作での3冠は史上初の快挙で、「本格的でありながら新しい」と大御所のミステリ作家達から大絶賛を受けました。

「デビュー作で3冠を取るって初めてですよ。スゴイですね!」(外山さん)
「いやスゴイです。おめでとうございます。」(吾郎)
それを聞いたときは
「さすがに信じられなくてですね、ここまで評価を頂けるとは考えていませんでした。」と今村さんは謙虚。口角が上がったお顔なので、普通に話していても自然に笑顔になる魅力的な方です。でも書く小説はミステリ。
「部屋で一人で読んでてほんとに怖くなった。」と吾郎。

課題図書 : 「屍人荘の殺人」 今村昌弘 (東京創元社刊)

ある映画研究部の合宿で別荘に男女14人が集まる。すると近くで行われていたフェスでテロが発生、混乱の中別荘内では不可解な殺人が起こる。2つの事件が重なるとき想像し得ない事態へと発展する・・・。
この新感覚ミステリが何故ここまで評価されているのか、ネタバレギリギリまで迫ります。

【評価ポイント①:これまでミステリ界に存在しなかった超斬新なシチュエーション】
「新しいクローズド・サークル」
「クローズド・サークル!新しい言葉が出てきましたよ」(吾郎)
「これはですね、何らかの事情によって登場人物達が一つの場所から外に出られなくなったり、逆に外から誰も中に入れなくなったり、という状況のことです。」(今村さん)
つまり簡単に言えば「密室となる状況」。迎えが数日後でないと来ない孤島や、猛吹雪の中の雪山の山荘、豪華客船や電車などがこれに当たり、ミステリでは人気のある設定の一つです。謎の主から招待状をもらい孤島に集まった10人が1人ずつ殺されていく「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティ、1939年)が世界的に大ヒット、その後様々な小説でクローズド・サークルが描かれて、ネタは出尽くしたとも言われていました。そんな中今村さんが作り出した新しい状況とは?
とここで・・・
「あ、吾郎さん、あれは何ですか?」と外山さんが指さす方を見ると、金ダルマの前に
「屍人荘」
と書かれた古びた看板が立っています。いかにも怪しい・・・。
「これはね外山さん、行けって事だよ。今村さんも行きましょうよ。」と吾郎が言い3人はセットを出ていきました(←なんだこの小芝居は)。

今回はネタバレギリギリまで屍人荘を再現し、新しいクローズド・サークルを実際に体験します。
3人は「屍人荘」の看板のあるドアの前にやって来ました。
「私が開けるんですか?」と言いながら外山さんがドアを開けると・・・、
「きゃあ!」(外山さん)「きゃあ!」(吾郎、女の子のように口に手を当てる)
「ゴロウ・デラックスのADさんが死んでます!」(外山さん)(死体役はゴロデラADの今野くん。お疲れ様です。)
「どういうことだ!」(吾郎)
とその時窓を叩く音が。「誰だあれは!?」(吾郎)
黒い服を着て白い仮面をかぶり窓を叩いている人達の胸には
「恐ろしい何か」
と書かれています。(不気味ですがちょっと笑っちゃいます)
「この状況が先程お話ししたクローズド・サークルなんです。」とここで初めて今村さんが口を開きました。
「ああ、この部屋が密室って事ですね。・・・でも鍵かかってないじゃないですか!」と吾郎はドアを指さしました。
「鍵はかかってないですけど・・・」(今村さん)「じゃクローズドじゃないと・・・」(吾郎)
「いえ、外にああいう『恐ろしい何か』がいたら、我々は外に逃げられませんよね。同時に外から助けにも来られないですよね。そしてまた、何かの原因で携帯が使えなかったりしてここに我々しかいないとなれば、それがクローズド・サークルなんです。」(今村さん)
「確かに外と連絡も取れないし。だから『屍人荘の殺人』ではこのような状況でクローズド・サークルを作ったところが新しいと。外に何かがいる、ということで。」(外山さん)
「恐ろしい何か」に囲まれて脱出出来ない状況の中、追い打ちをかけるように室内で最初に起こる殺人事件の場面を外山さんが朗読。

進藤の部屋をノックしてみたがやはり返事がない。菅野はマスターキーをスロットに挿し込んだ。ピッという音がして鍵が開く。ゆっくりとドアを開けた。
その瞬間、嫌な臭気が鼻をついた。
「ううっ・・・」
中を覗き込んだ菅野が呻く。
彼の背中越しに、誰も想像しなかった光景が広がっていた。
床に撒き散らされ、天井にまで飛び散った血。散乱した肉片。
開け放たれた窓からベランダに乗り出すようにして、ボロ雑巾の様に食い荒らされて見る影もなくなった進藤の死体が倒れていた。

(後略:この後現場の細かい描写が続くのですが、興味を持った方は是非本を読んで下さい。)

吾郎はじっと眼を閉じて外山さんの朗読を聞いていましたが、終わると「これが第一の殺人ですね。」と静かに言いました。
“「恐ろしい何か」に囲まれた建物”という密室状況の中で更に密室殺人が起こる、いわば二重の密室構造が高く評価されているのです。

【評価ポイント②:誰にでも分かるミステリ】
「僕自身があまりミステリにどっぷり漬かってきた人間ではなかった。」と今村さん。「で、物を書くようになってミステリを勉強したら、本格ミステリというジャンルが面白く感じたんですが、いざ周りを見渡してみるとどうも本格ミステリというものに皆さんがあまり興味を持ってない様に見えて。こんなに面白いのになんでそれが伝わってないのか、というのが自分が書いている時のポイントでもありました。初めて本格ミステリを読む人、また読書の趣味の無かった方にも読みやすくなるような作品にしようとすごく心がけて書きました。」
「優しい・・・・」吾郎は感心した様子です。
この小説には登場人物を覚えられるようにおさらいする場面やミステリの専門用語を丁寧に説明するブロックなどがあり、「誰にでも分かるミステリ」を目指したところも評価されているポイントです。
今村さんが「読みやすさ」「分かりやすさ」を重視するのには、今村さんの意外な前職が関係していました。それは
「医療系の仕事でして、診療放射線技師、レントゲンなどの仕事です。」
「なんかいそう・・・『ここに顎乗っけて』って言って優しくしてくれそう・・・」(吾郎)
岡山大学医学部を卒業後29歳まで放射線技師をしていた今村さんは完全な理系で、文学とはかけ離れた生活をしていたそうです。
「読書は好きだったんですけど昔から雑多なジャンルに手を出す子供で、ミステリ1つに傾倒して読んでいくわけではなかったんです。なので自分がミステリを書こうとなった後に一生懸命勉強してどうすればいいのか分析して、「屍人荘の殺人」という作品を書き上げました。」(今村さん)
今村さんはミステリの書き方も「理系」なのだとか。というわけで番組スタッフは神戸市にある今村さんのご自宅にお邪魔して推理小説の書き方を徹底解説して頂きました。

机や洋服掛けなどが並んだ部屋の床には大量のミステリ本が入った段ボール箱。本棚にも同じように沢山のミステリ本が並んでいます。これらは読み終わった本だそうです。更に机の隣にはミステリの書き方や本を書くためのハウツー本が。
ミステリ素人だった今村さんは、
「仕事を辞めて本格的に執筆に入ろうと思った時、“ミステリの作り”というものを知らないとダメだろうなと。それでまずは1ヶ月に100冊読むことを目標に始めたんです。実際には1ヶ月で100冊には達してないだろうと思うんですが。」
「えー!」スタジオでVTRを見ていた吾郎と外山さんは驚きました。
特に影響を受けた作品は、
「有栖川有栖先生の『孤島パズル』。殺人事件とは別に宝探しの要素がストーリーとして一つ通ってるというところが、『屍人荘』にも影響してるというか、参考にさせて頂きました。」更に
「綾辻行人先生の『水車館の殺人』や『時計館の殺人』が僕はとても好きなんです。」
今村さんはミステリ界の大御所綾辻行人さんの作品を教材に、ある事をして徹底的に研究しました。
今村さんは机の上の黒いノートを手に取りました。
「『屍人荘の殺人』は僕が初めて書いた長編ミステリでしたので、書き始める前にどうしなきゃいけないのかなという事を・・・、他の作家の先生の作品を参考にさせて頂きました。まずは物語構成を分解して分析してみたんです。これは綾辻行人先生の『時計館の殺人』を読みながら何が起きてるのかを書き出していったんですけど、読み終わった後で書くんじゃ無くて読みながら書いていったのがポイントで。もしかしたら自分が気づいてない手掛かりが隠されているかも知れない、それを確認したくて、読みながら何章に何が起きてるかを書き出して手掛かりの隠し方などを分析させて頂きました。」

「屍人荘」を書くときに構成を重要視していたという今村さんはミステリの名作の構成を分析し自身の作品にも活かしました。
ノートに第一章第二章・・・と書きだし、各章でどんな事を起こすかを書き込む。更に構想が出来た後で何ページの所で何が起きているかをチェックし、ある部分は増やしたり別の部分は減らしたりして全体のバランスを整える。・・・と構成を徹底的に分析したのだそうです。そうはいってもなかなかノート通りには書けず、
「最初の事件が起きるまでにページを費やしてしまって、あとで慌ててエピソードを一つ削りました。」という苦労も。
作品を書き終えた後も今村さんの分析は止まりません。
「応募までの期限が短かったんですけど、一遍書き上げた作品を見直して修正しなきゃダメだと思った点を(ノートに)書き出して修正できたら消していく、という作業をしました。」その「自分へのダメ出し」は30カ所にも及び、女性の服装、ペンションの内装、喫茶店のBGMなどありとあらゆるものが書き出されていました。
「書き上げた後は興奮して良いものが出来たと思っているので、時間を置いてから冷静な目で作品を見返す」という今村さんは
「自分は理系でしたし、文芸というものにあまり触れる機会が多くなかったんですけど、自分の求めるものがどう構成されているのか、どうすれば効率よくそこにたどり着けるのかを自然に考えるようになっていたんだと思います。」と自己分析しました。

VTRが明けると吾郎は
「患者さんを診察するような形で物語を・・・」と言いました。
「はい。仕事が役に立っているのは、ああいう撮影の仕事は患者さんに分かりやすいように誘導しなきゃダメなんです。そこが文章を分かりやすく書くということに通じるところがあって。ただ『こちらに来て下さい、立ってください』だけでは上手く患者さんを誘導できない。その方々の特徴、リアクションに合わせてこちらが上手く説明をアレンジしないと通じないこともありますので。」(今村さん)
吾郎は身を乗り出して聞き「なるほどね」と目を輝かせました。

最後に今村さんに質問。「稲垣吾郎でミステリを書くならどんな配役がいいか?」
「稲垣さんは今まで探偵の役をたくさんされてますね。」(今村さん)
「そうですね。探偵とか刑事とかが多いですね。」(吾郎)
「逆に被害者や犯人の役をやったらスゴく面白いじゃないかと思いますし、キャラクターとしてすごく良いお兄さんの雰囲気があるので、主人公達の周りに居ていつも優しくサポートしてくれる優しい先輩格の人物としてずっと行ってて、なのに最後に犯人だと判明するというような。」(今村さん)
「おー、なるほど」(吾郎)
「で、動機も誰かへの激しい憎しみや金銭目的では無くて、凄くまともに見える人がちょっと普通の人とはボタンをかけ違ったサイコパスで、『ああそういう事か!』という動機で犯罪を犯して、さらに自白のシーンではそれを淡々と語る。」(今村さん)
「ああ、イメージ湧きますね。自分で言うのもアレだけど。」(吾郎)
「そうなんです。・・・ってしたらすごく怖いし。」(今村さん)
「面白いな・・・。嬉しいです。じゃちょっと書いて下さい!僕のイメージで書いて下さい!」吾郎がそうお願いすると
「映像化して稲垣さんが出てきたら『コイツ犯人や!』って(笑)」と今村さん。(こんな鋭い指摘をした作家さんは初めてかも知れません・笑)
「ばれちゃう!もう無理だね。」(吾郎)。
外山さんは大笑いしていました。

「あれ?そろそろ山田くんの時間だよね?」と吾郎がスタジオを見回すと
『山田くんが行方不明になっています』と女性スタッフさんがカンペを出しています。
そこで吾郎、外山さん、今村さんの3人が楽屋へ行ってみると・・・
「鍵が閉まってる」と外山さん。スタッフから鍵をもらい開けるとそこには、
椅子にぐったりと倒れ込んだ血まみれの山田くんが!
「死んでる?・・・このハンコに何か秘密が隠されているのではないか?!」
と吾郎は叫んで山田くんの手の中の消しゴムハンコをスケッチブックに押しましたが、
「モザイク掛けてこれは。この恐ろしい何かは言っちゃいけないんだ。」とフォローしました。そしてスタッフから渡されたカンペをカメラに見せ
「ということで、ゴロウ・デラックスまた来週。」と締めました。
番組初、楽屋で終わるパターンでした。今村さんありがとうございました。


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