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美と狂気の女優道(前編) (「ゴロウ・デラックス」 4/20)

オープニング。
「今日は時代劇研究家のあの方を再びお迎えしました。」(外山さん)
「前回は貴重なお話を伺えて俳優として刺激を受けましたよ。」(吾郎)
「今回は、日本映画界が誇る大女優にロングインタビューを敢行し後世に残る映画資料の様な名著を書き上げられました。どんなお話が飛び出すんでしょうか。」…と外山さんは吾郎をキッと睨んで
「覚悟しいや!」とドスの効いた一言。
「何それ!?…その読まされてる感じ」と吾郎に切り返され思わず外山さんは笑ってしまいました。

今回は時代劇研究家の春日太一さんが2度目の登場。前回は鬼才・五社英雄監督の生涯を熱く語って下さってくださいました。その春日さんの最新作が今回の課題図書です。

課題図書 : 「美しく狂おしく 岩下志麻の女優道」 春日太一

「出る側の人間の目線で読ませて頂きました。凄く面白かったです。こうやって映画を作っていくっていいなって。」吾郎の言葉を春日さんは頷きながら聞いています。
「でもそもそも岩下志麻さんをテーマに本を書こうと思った理由は何ですか?」(吾郎)
「前回出演した時五社英雄監督のお話をしましたが、実はその取材の段階で、五社監督の話を書くのであればやはり岩下志麻さんへの取材は欠かせないだろうという事で、インタビューをお願いしたところ受けて頂きまして、そしたら驚くくらい面白いエピソードをたくさん頂けて。『これは五社監督だけじゃなくて他の監督でもこういう話を伺えたらとんでもないものになるな』とその時から思っていて、今回この取材に繋がったんです。」(春日さん)
「それがこの一冊になったんですね。…でも春日さん、今までにいろんな方のインタビューをされてきているでしょ?それでも岩下さんは特別な感じでした?」(吾郎)
「お話を伺ってみると、頭の中で演技のプランが出来ていてそれを言葉にちゃんと出来る方なんですね。岩下さんのお芝居はどちらかというと情念を持ってグッと入ってくお芝居が多いんですけど、にもかかわらず最初の役作りに関しては、例えば髪型をどうするとか衣装の丈でも長さで役柄のイメージが変わってくるとか、理知的にかなりロジカルに演技を組み立てていく方なんですね。そうして外側を作ってから、外側の器の中に自分の魂を入れ込んでいく…2段階の方なので、役作りが一つの物語になっている。そのお話がとてつもなく面白かったので、今回、各作品とも必ず最初の質問は『どういう役作りをされましたか?』。そこからもう既に物語が始まっているんですよね。」(春日さん)
「そこがやっぱり面白いですよね。」(吾郎)
「勉強になりましたね。役者でもないんですけど(こういうやり方があるんだ)って。」(春日さん)
「映画の見方も変わってきたんじゃないですか?」(吾郎)
「ええ、ディテールに目が行くようになりましたね。」(春日さん)
「今回は春日さんが岩下さんの狂気の演技について解説して下さるんですが…」(外山さん)「楽しみ!」(吾郎)
「それだけではなくてですね…今日は岩下さんご本人にもお越し頂いております!」と外山さんに紹介されて、今回のスペシャルゲスト岩下志麻さんが登場しました!!日本映画界を代表する女優さんはやはり輝きが違います。
「やっぱり変わりますね空気が。」外山さんも圧倒されているようです。

まずは岩下志麻さんの経歴から。
1958年17歳で女優デビューし、小津安二郎監督「秋刀魚の味」(1962年)、川端康成原作「雪国」(1965年)など数々の名作に出演しました。更に代表作「極道の妻たち」シリーズが大ヒット、日本映画界を支えてきた大女優の一人です。
「岩下さんと吾郎さんは今まで共演は?」(外山さん)
「あの、番組の方にゲストに…来て頂いて…。」(吾郎)
「ええ、伺いました、スマスマに。」(岩下さん)
「料理でもてなすコーナーで…あとコントみたいな…ホストの役をやっていたコントで…」(吾郎)
「ああー!はいはいはい(笑)」(外山さん)
「その時もコメディなので岩下さんご自身で小道具とか持ってきて下さって。フッと吹くとビューッと伸びるのあるじゃないですか。なんか笑わせグッズみたいなのを、ご自身も『これはコントだし、オチでやりたい』って。…そんなのやる方なんだ!とビックリして。それがこれ(本の内容)とも繋がってるのかなと思って。」(吾郎)
「そう、小道具ですからね。」と春日さんは納得した様子です。
「それ、凄く嬉しかったのを覚えています。」(吾郎)

(これスマスマの『ホストマンブルース』ですよね。実は私、岩下志麻さんが出演されたことをすっかり忘れていました。コントのオチも思い出せません。その時に戻って自分を叱りたい!)

今回は課題図書を通じて、岩下さんの美しくも狂気に満ちた女優道を徹底解明します。
【「はなれ瞽女おりん」(1977年)】
盲目の三味線弾きを演じた時の徹底した役作りについての部分を吾郎が朗読。

私は暗闇恐怖症でしたので、目をつぶって暗いところにいるのが物凄い恐怖だったんです。二色の電球を枕元につけて、灯りがないと寝られなかったくらいで。
ですので、まず暗闇に慣れることが必要だなって思いました。
それで目をつむってお茶を飲んだり、食事をしたり、お化粧したり、家の中を歩いたり、顔を洗ったり。
とにかく目をつぶって暗闇に慣れること。そこから練習しましたね。
宿と撮影現場を、私はスタッフと一緒に全てバスで移動していたのですが、バスに乗るともう目をつぶっていました。
自分の世界に入るために他の人を見たくないですから。現場に行くまで目をつぶって、現場に行っても目をつぶって。
最後の方はもう、『目をつぶっているのがこんなに安らげるか』と思うくらいになりました。
目をつぶっていても目の前を誰が通ったか分かるんですよ。小道具さんが走ってる、照明さんがこっちに走ったな、とか。
瞽女さんの感覚っていうのがそこでちょっと分かったような気がしました。


「いやあ、すごい…。そこまで僕はしたことがありません。」(吾郎)
岩下さんご自身は
「目をつむると怖くてすぐ目を開けちゃう人だったんですけど、暗闇に慣れることから(役作りを)始めましたね。」とサラリとおっしゃいました。
「そうか…。ここまで役に入り込むって他の役者さんではなかなか…」(吾郎)
「そうですね。役者さんって大きく分けると2つある。現場で即興的に演じていくのが得意なタイプと徹底的に準備して現場でもそのまま演じるタイプがいらっしゃるんですけど、岩下さんは後者の、一番最たる、力の入れ方のすごい人じゃないかなと思います。」と春日さんは力説しました。
「そっちの方が役に集中できるんですね」(吾郎)
「そうですね。だから雑談が全然できない、現場で。(現場でも)その役でいないとダメなんです。」(岩下さん)
「本番直前までずっと話しかけてくる俳優さんもいますからね。」(吾郎)「そうなんですよね。」(岩下さん)
「え?岩下さんにも(話しかけてくる俳優さんが)いました?」(吾郎)
「いました!『昨日六本木でさ~』とかね、色々すごい現実的なお話をしてくる…」(岩下さん)
「急に『ヨーイ!』って言われてね」(吾郎)
「そうですね、すごく器用におやりになるんですよね、その方はね。」(岩下さん)
「そう、そういう方もいるんですよ、確かに。」(吾郎)
「で、それが良かったりしてね。だからどっちが良いか言えないんですけど、私は大変不器用なので前から気持を作ってないと出来ないです。」(岩下さん)
「吾郎さんはどうですか?」(外山さん)
「僕も静かです。そんな入り込んでる方では…もしかしたら春日さんの言う前者の方かも知れないんですけど、多分現場で…じゃないと切り替われないというか…」と吾郎は自己分析していましたが突然
「そうだ!一度役所広司さんに怒られたことがありまして」と話し出しました。
「昔『笑の大学』ってお芝居(映画)をやった時に、打ち上げで最後に注意して下さったんですけど、僕、本番直前まで下を向いていたんです、いつも。『ヨーイ』って言われたら見つめ合ってなきゃダメなのに、カチンって鳴った瞬間から僕は切り替わるタイプなのでその前に見つめ合ってることが自分のリズムを作りづらくて…。だからお互い見合うシーンなのに、いつも『ヨーイ、スタート!』と言われるまでちょっと下を向いていたりとか…。役所さんは『ヨーイ』の時からずっと僕を見て役に入り込んでそこから世界が始まる方だったので、大先輩に対してすごい失礼なことをしたなと思って。それを注意して下さったのがとてもありがたいことだったなと。勉強になりました、その時に役所広司さんから。」
吾郎がとても穏やかに話していたのが印象的でした。

ここからは、岩下さんの狂気の演技を春日さんの解説付きで見ていきます。
【「卑弥呼」(1974年)】
岩下さんが主人公卑弥呼を演じ、邪馬台国の権力闘争などを描いた作品です。
「役作りも色々ありますが、卑弥呼の役作りってどういうものなのか現代人の我々では分かりようがないわけで…」(春日さん)
そこで岩下さんが行った狂気の役作りとは…
「卑弥呼はシャーマン的な存在でオカルトな世界と通じることが出来る人間ということですね。そこで実際に霊媒師の所に行かれて、卑弥呼の霊を降ろしてもらう、と。」(春日さん)
「すごいなぁ。そこまでは…発想すらない。」(吾郎)「よく思いつきましたね。」(外山さん)
「役作りの入口が見えなかったんですよ。どうしようと思って、霊媒師さんに知ってる方が居てその方に『私の中に卑弥呼の霊を降ろして欲しい』とお願いして。そうすると私の中に変わったことが起きて、役作りの糸口になるんじゃないかと思って伺ったんですよ。」岩下さんが事も無げに言ったので
「すごい!」と吾郎は思わずのけぞりました。
「それで降りてきたんですか?」外山さんが身を乗り出して訊きました。
「事務所の人が隣に2人並んで3人で降ろしてもらったけど、私には全然降りてこなくて両隣の方のうめき声が聞こえたので、折角来たんだからと薄目を開けて横を見たらものすごい勢いで畳を掻きむしっていたんです、唸り声を上げながら。それがすごく(役作りの)ヒントになりましたね。で、それを神の声を卑弥呼が聞くシーンに使わせて頂いたんです。」(岩下さん)
映画のそのシーンは岩下さん演じる卑弥呼が白砂の上で呻きながらのたうち回る姿を真上から撮っているのですが、その異様な迫力は息を飲むほどです。
「すごい……でもこれ、台本にここまで最初から書かれてないですよね?掻きむしるとか呻くとか。」(吾郎)
「それはないですよね。」(岩下さん)
「ですよね。で、その(岩下さんの)姿を見て、俯瞰から撮っていこうって監督も決めたのかも。…いやぁすごいですね!」吾郎は興奮して言いました。
もう一つ、卑弥呼に成りきる為岩下さんがこだわったのが祈祷のシーン。細かい指の動きにインパクトがあります。
「指の動きに目が行ってしまいますね。この指の動きにはどういう意味があるんですか?」と吾郎が訊くと春日さんが
「実はですね、今回岩下さんから台本をお借りして参りまして…」と
当時の貴重な台本を手に取りました。表紙には岩下さんの自筆で名前も書かれています!
「これは元々この作品にも出られている前衛舞踏家の土方巽さんがご自分の踊りの中でやられていた動きなんですね。そこからヒントを得られたようなんですけれど、この台本の中にこの動きに関するメモが…」と言いながら台本の中から一枚の紙を取り出しました。岩下さん直筆の“指の動き”の演技プランです。
「(指の)振り付けだよね、要するに。」(吾郎)
「ええ。卑弥呼だから不思議な動きが欲しかったんですね。で土方さんにご相談したら『指の舞踊をやったらどうか』ということで。やっぱりあの不思議な動きをすることによって卑弥呼の霊的なものが不思議なものになっていくので、すごく良いことを教えて下さったなと思います。」(岩下さん)
「へえ、面白い!」そう言う吾郎の指も自然に動いていました。

次の作品は子役への恐怖の演技で世間を騒然とさせた問題作です。
【「鬼畜」(1978年)】
春日さんが内容について解説。
「川口の小さな印刷工場…零細工場が舞台で、その社長が緒形拳さん、奥さんが岩下志麻さん。本当にお金のない印刷工場で生活が苦しいんですよ。で夫婦で働いて何とか保たせているんですけど、実は主人公の緒形拳さんが裏で愛人を作っていたんです。愛人との間に子供が3人出来て養育費を払っていたんですけど、本当に工場の経営が立ち行かなくなって養育費が払えなくなってしまった。それで愛人がキレまして3人の子供を緒形拳さんに押しつけて去ってしまうんですよ。たまったものじゃないのは初めて知らされた岩下さん演じる奥さんで、自分は子供ができないんですよ。しかもすごく苦労しながら一緒にやって来たのに、夫は裏で子供を作っているわそっちにお金を貢いでいるわ、そして子供を押しつけられて、子供を憎む気持が強くなってしまうんですね。それで子供を辛い目に遭わせてしまうんです。…つまり子供と対峙する役なので(役作りは)こうなります。」
ずばり、
「子供に怒り狂う非道な鬼嫁ぶり!」
「こういう役なのである種鬼にならなければならなかった。」(春日さん)
「(岩下さんにも)実際お子さんがいらっしゃったわけですし、ちょっと辛いですね。」(外山さん)
「そうですね。とても辛かったですね。で子供って素直だから(こちらが)ニッコリしちゃうと本番の時に(子供も)柔らかい顔をしちゃうので、朝からいじめるわけです。」(岩下さん)
「ええー?!」(吾郎)
「いじめるというか、ご挨拶に見えて『おはようございます』って言われてもツンと横向いちゃったりとか、何かやっていると『何やってんの!』と怒ったりとか、とにかく怖いおばさんのイメージで接してたんですね。だから、子供がぶっつけ本番でも大丈夫なくらい、憎々しい顔で私を睨んで見てくれましたね。」(岩下さん)
「怖がらせないといけないって大変なことですよ。」(春日さん)
「その中でも特に大変なシーンがあったそうで。」(吾郎)
「一番下の子にご飯を『食べろ食べろ』と口に入れるシーンなんですけど監督が『本気でやって欲しい』と言われて。ほんとに可哀想と思ったけど、無理矢理に『食え食え食え』と…。辛かったですよ。」
と岩下さんが振り返るそのシーンは…本当に怖い!ご飯を口に詰め込まれる赤ちゃんが死んじゃうのじゃないかと思えるほどです。VTRを観ていたスタジオの空気も凍り付きました。
「これは…やっぱり怖いし…」吾郎が言葉を選んでいます。
「自分自身も怖い思いをしました。」(岩下さん)
「でも終わった後『ごめんね』とも言えないじゃないですか。この先もまだシーンがあるし、怖い鬼嫁じゃなきゃいけないから。」(←吾郎のこの発言は完全に役者目線ですよね。なるほどと思いました。)
「ええ…それからね、もうホントに遠くに私を見つけても泣くんですよ。よっぽど怖かったんだと思う。」(岩下さん)


岩下さん役作りのお話は興味が尽きないのですが、今週はここまで。来週はもっと面白いお話が聞けそうで楽しみです!


拍手ありがとうございます

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そして新しい道へ

皆さんお元気ですか。

私は「クソ野郎と美しき世界」の公開が終わって気が抜けたようになっています。頭の中で慎吾の「イェーーーーーーーエエ」が今でも聞こえます。これが「クソロス」でしょうか。
19日深夜のYouTube生配信は、画面がフリーズして見ることが出来ず、翌日チェックしました。3人ともやり切った爽やかな顔をしていましたね。吾郎は髭を剃ってスッキリした感じになりました(私は髭吾郎も好きですが)。
そして、クソ野郎シリーズ第2弾が決定!!この映画が次の新しい道に繋がって良かったです。慎吾だけが知らされていた事に吾郎と剛から不満の声が上がりましたが(笑)。
ただ、次回作はじっくり時間をかけて作って欲しいです。今回の映画は今の3人が今の状況の中で作る事に意義があったと思いますが、次回作は違ったアプローチで取り組む方が良いような気がします。「クソ野郎と美しき世界」は3人のエネルギーがスクリーンから溢れているので見て幸せになれましたが、もっと時間をかければ脚本を練り上げられただろうなとは感じました。(映画に詳しくない私が偉そうなことを言ってすみません。)次回作こそが本当の勝負になるでしょうから頑張って!
あ、それから、お客様動員数はなんと280,021人を記録しましたね。おめでとうございます!最終日まで客足が落ちなかったのがすごい。そして末尾の桁の「21」人がとても輝いて見えます。いや、映画館に足を運んだ全員が輝いているんですよね。皆さんお疲れ様でした(←謎の労い)。

話は変わりますが、本日(23日)発売の「Junon」に吾郎の記事が掲載されるそうです。要チェックですね。

あと、雑誌に関して気になっていることが一つあります。
「TVガイド」の「リーダースリンク」に掲載されている「スターランキング」から2週続けて吾郎がランク外落ちしています。私もハガキを送るのを忘れがちなので気を引き締めて送ろうと思います。出来ればご協力をお願いします。


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