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66歳差の名コンビ (「ゴロウ・デラックス」 12/22)

オープニング。
「さて、今年最後のゴロウ・デラックスになりました。」(外山さん)
「今年もいろいろお世話になりました。」(吾郎)「有難うございます。」(外山さん)
二人は深々とお辞儀しました。
「そんな今夜にふさわしい方々がゲストです。あの方は4年ぶりに出演して下さるんです。」(外山さん)
「もう4年経ちますか!でも久々にお会いするので楽しみですね。」(吾郎)

今年最後のゴロデラゲストは瀬戸内寂聴さんと秘書の瀬尾まなほさんのお二人です。寂聴さんといえば95歳となった今も積極的に尼僧として活動し著作を発表しているベストセラー作家ですが、
「今回の課題図書、寂聴さんの本かと思ったら」(吾郎)
「今日は彼女がスターです。」(寂聴さん)
「すみません」とちょっと恐縮しているまなほさんが今回のメインゲストなのです。
瀬尾まなほさんは現在29歳。25歳で寂聴さんの秘書になり、仕事面だけでなく身の回りのサポートもこなし、寂聴さんの絶大な信頼を得ています。
瀬尾さんはベストセラー作家の寂聴さんにも遠慮なく欠点をズバズバ指摘し、寂聴さんは66歳年下の秘書にタジタジです。元からいたスタッフが全員辞めた後、寂聴さんの壮絶な闘病生活を二人三脚で乗り越えたお二人の不思議な関係について今回はお話を伺います。

課題図書 : 「おちゃめに100歳!寂聴さん」 瀬尾まなほ

まず目を引くのはまなほさんと寂聴さんの2ショット写真です。どの写真もお二人ともが生き生きして楽しそう。
「この写真をイメージしながら読んでました。」(吾郎)
「寂聴さんがこんなにおちゃめな方なんだ!というのがこれでもか、というくらいに書かれてあって…。すごく元気になられた気がする。」外山さんが寂聴さんの方を向いて言いました。
「そうなんです。この人が来てからそうなりましたね。第一笑うもの。朝来たらすぐ『おはよう』と言ってその瞬間おかしな事をしたり言ったりする。だから笑うんです。」(寂聴さん)
「(まなほさんの)今の雰囲気からすると想像付かないですけどね。」(吾郎)
「例えばね。とても器用で私をマッサージしてくれるの、パックとか。それはありがたいでしょ。でマッサージしながら『どうしてこんなにあなた鼻筋がないんでしょう』って。」寂聴さんに暴露されてまなほさんは笑ってしまいました。
「そんなこと言うんですか?!」(吾郎)
「言うんですよ。その通りだから言い返しようがない(笑)。」(寂聴さん)
「今までそんなことを仰る秘書の方はいなかったんじゃ…」(吾郎)
「いないですよ。心の中では皆思ってるけど口には出さない。」(寂聴さん)
「寂聴さんの秘書さんってどんなことをされるんですか?」(吾郎)
「作家としての執筆活動のスケジュールを組んだり、締め切りの催促をしたり、出版社とのやり取り、出張する時のスケジュールを組んだり、交通手段を確保したり…」(まなほさん)
「やること多いですね!」(吾郎)
「あと、(出版社に)謝らなきゃいけない、締め切り守らないから。」まなほさんは寂聴さんの方に身を乗り出して言いました。
「(電話で)すみませんすみません、と謝ってる脇で(先生は)笑ってるんですよね。」今度はまなほさんが暴露しました。
そんな締切日間近の二人のバトル風景の部分を吾郎が朗読。

文芸誌「群像」に「いのち」の連載をしていた頃は、私は毎月、胃が縮こまる様な思いをしていた。
執筆時間として締め切り前の10日間は、何も入れない様にスケジュールを組んでいるのに、先生はいつも違うことを始め、関係のない本ばかり読んでいるからだ。
締め切りがいよいよ近くなると、
「先生、もうやばいですよ!『群像』やばいですって!」
と私が叫ぶのが決まりだ。
「え、そう?」
いつかの朝の会話が、ここで繰り返される。
ハァ……。
「書くことは、頭の中で決まってるから大丈夫よ」
と先生は言い、
「そんなことできりきりしてたら、命がもたないよ」
と唇をとがらす。
「私、もう既に寿命縮んでるんですけど、先生のせいで」
と泣き声を出すと、
「ははは。あなたが寿命縮んで私が延びる~」
と呑気な答え。
でもやっぱりこうじゃなきゃ、作家として生きてこられませんよね、納得。
机に向かっている先生の背中。
後ろからそっと広げた原稿用紙をのぞくと、
「瀬戸内寂聴」
としか書いていない…。
そんなときは白目になって、卒倒しそうになる。
「先生、これなら私でも書けます」
と怒っても、
「執筆のために世の中のことを知っておかないと」
と週刊誌から目を離そうとしない。
締め切りが迫っているときは、心を鬼にして、
「後にしましょうね」
と取り上げる。
「全部必要なのよ」
と惜しそうに言うけれど、占いのページも必要なの!?(笑)
私は一体誰を相手にしているんだろう?
子どもじゃなくて、95歳の大作家だよね……?確か。


「ありがとうございます。」まなほさんは軽くお辞儀をしました。
「ホントにこんな感じなんですか?」(吾郎)
「ホントにこんな感じです。」(まなほさん)
「(まなほは)いつも怒ってますよ(笑)。」(寂聽さん)
「それがまた嬉しそうなんですよね。私が怒ってると『また怒ってる』って感じで嬉しそうなんですよ。」(まなほさん)秘書さんはほんとうに大変ですね。
「電話の前でお辞儀しながら『すみません、すみません』なんて言ってるの。『ざまぁみろ』って思う。」(寂聽さん)
「何かっていうといつも『ざまぁみろ』と思って。私が意地悪されてたりイヤなことされると喜んでるんですよ。」とまなほさんは訴えましたが、お二人のやり取りが余りにおかしいので吾郎も外山さんも笑い転げました。
「友達ですね。でも視聴者の方もビックリなんじゃ…。だって寂聽さんにこんなお若い秘書の方がいるって…。」(吾郎)
「66歳の差があります。」(寂聽さん)
「(寂聽さんの)秘書って普通になれるものなんですか?」(外山さん)「そうだね。募集とかしたんですか?」(吾郎)
「私は瀬戸内が行ってた祇園のお茶屋さんのおかみさんの紹介で、『若い子が欲しいんだけど』という瀬戸内の言葉で、働かせて頂くことになったんです。」(まなほさん)
「寂聽さんが面接されたんですよね?」(外山さん)「もちろん」(寂聽さん)
「この子、という決め手は何だったんですか?」(外山さん)
「まず文学少女じゃないのが、私は一番良かった。大体文学少女というのは、掃除は下手だし、片付けは下手だし、料理は下手だし、全然ダメなんですよ。『本を読んだことある?』と聞いたら『ちっとも』と言うんです。『瀬戸内、というのは聞いたことあるけど、寂聽は全然知らない。本は1冊も読んでない、全く知らない。』って。『じゃあこの子』と思ったの。それで『やってみる?』って言ったんですよ。」と寂聴さんは文学少女をdisりまくりました。
「寂聽さんの事をあまり知らないって、寂聽さんは嫌じゃなかったんですよね?」(外山さん)
「知らないから良かった。初めから『会いたかった、身の上相談聞いて下さい』なんて泣かれたら困りますからね。」(寂聽さん)
寂聴さんは仕事を任せられる人を選んだんですね。それが後々重要なポイントになったようです。

番組はまなほさんの秘書の仕事を拝見するため京都の「寂庵」へ。
お邪魔するとまなほさんは寂庵の中にある事務所で作業中でした。
まなほさんは朝9時に出社。「朝台所などを掃除したり、タオルを替えたり、花瓶の花を替えたり。で事務所に来てメールとFAXのチェックをして、あと、瀬戸内のスケジュールを組んで、どこかに行くときは宿とか移動手段を確保して…。」
寂聴さんのスケジュール表にはコンスタントに予定が入っています。95歳というお年を感じさせないスケジュールです。
そして寂聴さんの打ち合わせ中にまなほさんがお茶を出すと寂聴さんはカメラをチラリと見て、
「普段こんなお茶出したりしない」と言い出したのでまなほさんは
「するじゃないですか!誰が他にするんですか!」とすかさず逆襲。
普段からお二人はこんな感じのようです。
この日、寂聴さんは特別講話を開催。沢山の人の前で熱心に語りました。
その間にまなほさんはおやつを準備します。講話が終わり寂聴さんのおやつタイムになると、
「先生、お菓子好きですもんね」(まなほさん)
「『食べたい!』とは思わない、あなた達みたいに。」(寂聴さん)
「それやったら無理して食べんでいいのに」とまなほさんに突っ込まれ、寂聴さんは思わず噴き出しそうになりました。
「無理して食べてるんじゃないけど、さほどおいしくもない」と言い張る寂聴さん(ちょっと子供じみていて可愛い)に
「こんだけ食べといてよう言う…」とまなほさんはまたきつい一言を。でもその間お二人には笑いが絶えませんでした。
更に密着取材を続けると、貴重な出来事に遭遇しました。それは以前ゴロデラにも出演して下さった佐藤愛子さんと寂聴さんとの対談です。めったにない大御所作家同士の対談にゴロデラのカメラは同席させて頂きました。
しかし、寂聴さんがいくら大御所作家でもまなほさんのダメ出しは止まりません。
「締め切りのスケジュールが(自分で)分からないからなんでもヒョイヒョイ受けちゃって、スケジュールが真っ黒に…。基本『自爆キャラ』ですよね。」(まなほさん)
「でも二日徹夜が出来るの」(寂聴さん)
「二日徹夜しなきゃいけないくらい、ギリギリまで書かずに週刊誌読んでるじゃないですか」(まなほさん)
こんなお二人の関係を周りの方はどう見ているのでしょうか。お堂担当の馬場さんに
「最初まなほさんが寂聴さんにはっきりものを言うのは(心配で)ドキドキしましたか?」と伺うと
「そうですね、『けしからんな』と(笑)。でもすごく素直やし、(寂聴さんも)同じように言い返してそれが若さの秘訣かな、と。元気の素みたいな。すごく良い関係だと思います。」と。微笑ましく見ておられるようです。

「雰囲気もまなほさんが寂庵に来てから変わったんですね。」VTRを見終わると外山さんが訊きました。
「やっぱり笑いがあるところは幸せですよね。」と寂聴さん。実は二人の絆を深めた出来事がありました。
まなほさんが寂庵に就職して3年目の2013年、それまで一緒に働いていたスタッフが、まなほさんを残して全員辞めてしまったのです。その時まなほさんは25歳、寂聴さんは91歳でした。
「それまで5~6人いたんです、スタッフが。ある時一番古い人が改まってやって来て、『ちょっとお話がございます』と言うので『なぁに?』と訊いたら、さすがにこの頃私の事を『歳を取ったと思う』って。それでも自分では気付かないで、昔の様に沢山仕事してる。結局『(寂聴先生が)働くのは従業員を養わなきゃいけないからお金がいる。これ以上働かすのも辛い。』とそう言うんですよ。『働かせないためには私たちが辞めます』と。本当に涙を流してそう言ってくれた。だから感動しましたね。そして同時にみんな辞めたんです。」(寂聴さん)
「辞める方々もすごい苦渋の選択でいろんな思いがあったでしょうね。」(吾郎)
「だから全く前とは違う生活ですよね。」(寂聴さん)
寂聴さんのためを思えばこそスタッフの皆さんは辞めた…。当時のまなほさんの葛藤を綴った部分を外山さんが朗読。

「一人でできる?」
先生に聞かれたときは、だんだん心細くなってお風呂場で泣いた。
でも、
「できると言わないと何も進まない」
と腹をくくり、二人三脚で進むことを決めた。
食事、洗濯、掃除などの身の回りの世話と仕事の管理。
4月からは先生と二人きりで、全てをこなさなくてはいけない。
傍にいた2年間で、身にしみてわかった、先生のすごさ。
そんな人を背負っていくことができるだろうか。
「25歳の女の子が秘書です。」
なんて言ったら、相手にふざけてると思われないだろうか。
なめられたくないし、ミスをしても若いから仕方ないと先生の評判を落としたくない。
先生は
「分からないことは何でも聞きなさい」
言ってくれた。
「91歳のおばあさま」
とふざけて呼んだこともある。
気を遣わずに、何でも言いやすいのか、二人になってからの先生は、よく笑うし、怒ることも少なくなった。
先生と私は一心同体。
歩くときは、私の右手に先生の左手がかかる。握られた力強さ、先生の体温・重さを体で感じると、
頼ってくれている。
守らなくてはと背筋がピンとなる。
最初はぎこちない歩き方だったけれど、いつからか同じ歩幅になった。


「ありがとうございます。」とまなほさんはまた軽く会釈をしました。
あそこの秘書は若いからダメなんだよね、寂聴さんのとこダメだよね、と言われて瀬戸内の評判を落とすのがすごい不安だった、名前に傷をつけたくなかったというまなほさんの言葉を寂聴さんは真剣に聞いていました。
「周りの方も寂聴さんの事が大好きな人達が多いし」(外山さん)「そう、ファンの方も大勢いらして」(吾郎)
「私はね、『できる?』と言いましたけど『できる』って初めから思ってたの。90歳過ぎまで生きてきたら、人を見たら分かるんですよ、この人がどの程度できるかは。できると思ったから信頼したんですよ。そしたらできたでしょ。」
さすが寂聴さん、かっこいいです。

寂聴さんは先日長編小説「いのち」を出版しました。胆嚢がんや心臓の手術など壮絶な闘病生活を送りましたがまなほさんの支えもあり乗り越えられました。
「療養中は『ペンを持つ気になれない』とちょっと憔悴されてしまったんですか?」(吾郎)
「そうですね。ああもうこれはダメだな、と思ったことが…。こんな所に来られるなんて夢にも思わなかった。『もうおしまい』と思ってましたからね。」(寂聴さん)
「まなほさんも初めてでしょう?介護とか。」(吾郎)「そうですね。」(まなほさん)
「本当に優しかったですよ。まなほは寂庵に来てから私の病気の介護ばっかりしてる。そんな気がするくらい歳を取った。それを思うと晩年は彼女のおかげだと思いますよ。だからまだまだ書ける。」寂聴さんはそう言って嬉しそうに笑いました。
「でもこの歳になると死ぬことを考えますね。死に方とかね。やっぱり理想の死に方とかあるじゃない?私のはね、こうやってペンを持って(と机の上の鉛筆を手に取る)書きながらそのまま突っ伏して。で、朝まなほ達が来て寝てるのかと思って起こしてみたら死んでたっていうのが理想。」(寂聴さん)
「でも実際そうなってみたら、ねぇ…」(外山さん)
「でもこれでもし死んでたら、私はとりあえず写真を撮って『本当に自分のしたい死に方ができた』と証明します。」とまなほさんは明るく言いました。さすが寂聴さんが見込んだだけあって肝が据わってますね。

まなほさんの本には「先生に自分の結婚式に出て欲しい」という願いが書かれていましたが…。
「無理よね」と寂聴さんは一言。「だってね、なかなか結婚しないでしょ。この本のお祝いの会をするからそれを結婚式と代えよう、と。」
「いやいやいや、全然違うじゃないですか。」外山さんはそう言うと
「吾郎さんとか素敵じゃないですか。」といきなり話題を吾郎に向けました。
「えっ、独り?独り??」と寂聴さんはビックリ。
「今日一番すごいリアクションしましたね!…僕独りなんですよ。どうしましょう。」(吾郎)
「女たらしだから独りなの?」寂聴さんは身を乗り出して訊きました。
「違います違います…そういう時期もあったかも知れませんが最近は…」と吾郎は苦笑するしかありません。
「ああ、独りなの。」(寂聴さん)
「なんかちょっと僕を見る目が変わりましたね!どうですか、まなほさんに僕みたいな相手は?」(吾郎)
「どうですか?」(寂聴さん)「ぜひぜひ」(まなほさん)
「そしたら結婚式に間に合うね。」(寂聴さん)
冗談は置いておいて(←こら)結婚式に間に合うといいですね。

最後にお二人にこんな質問をしました。
「まなほさんにとって寂聴さんはどんな存在ですか?」(外山さん)
「一言では言い表せないですけど…やっぱり私の最強の味方かな。瀬戸内がいるだけで不安もかき消されていくし悩みも解決できるし前を向いていける、本当に私の最強の味方だと思います。」(まなほさん)
「寂聴さんにとってまなほさんは?」(吾郎)
「死ぬ時にどこか遠くにお嫁に行ってたら会えないかなと思って。できれば死ぬ時にそばにいてほしい。」(寂聴さん)
「初めて聞きました!嬉しいです。」(まなほさん)

AD山田くんの消しゴムはんこは寂聴さんとまなほさんが寄り添う微笑ましい姿。「消しゴムを削って作ったんですよ」と説明された寂聴さんが「大きい消しゴムだね」と反応すると「そこじゃなくて!」とまなほさんが突っ込みました。寂聴さん、これからもお元気で本をお書きになってください。まなほさんが傍にいれば大丈夫ですよね。


今年もゴロデラは多彩な方をゲストにお迎えして楽しい一年でした。来年も期待しています。


拍手ありがとうございます


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